検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:9,011 hit

貴方side. ページ3

羅刹を止める為に。
町の人を、助ける為に。
左之兄は戦ってたんだ。

私は左之兄の槍を見つめた。
よく見ると、槍の柄には傷がたくさん付いていた。
それだけ、厳しい戦いだったのだろう。

もし、そこに私がいたら。
左之兄は死なずにすんだかな。
傷を治すことが出来ていたら。
まだ、ここにいたのかな。

不知火「あいつは、永倉のやつと会津で待ち合わせをしてたみたいでよ。けど、この槍はお前に渡すべきだと思ってな。だから、この槍を持って来てやったってわけだ。ほらよ。」

私は不知火さんから槍を受け取る。
それを受け取った瞬間。
涙が止まらなかった。

A「左之兄。」

何も出来なかった。
助けられなかった。

左之兄が離隊する時、もしかしたらもう会えないかもしれないと、分かっていたはずなのに。
実際その時が訪れてみると、全く実感がわかない。

土方「お前のせいで原田が死んだわけじゃねぇ。あいつは、あいつの信念を最後まで貫いた。この結果も、原田が決めた道だ。」

A「はい。分かってるんです。けど、けど………。」

後悔せずにはいられない。
もしあの時一緒に行っていたら。

土方「お前は、原田と別れても、新選組にいたいと言ってたのによ。あの言葉は嘘だったのか。」

A「そんなことありません!私は私で、自分の道を行くって決めたんです!」

そこまで言って気づいた。
そう。
この道は私が自分で決めた。
たとえ左之兄ともう二度と会えなかったとしても、土方さんのそばにいると。

土方「やっと、少し落ち着いたみたいだな。」

A「はい。すみません、取り乱してしまって。こんなんじゃ、左之兄に怒られますね。」

自分で決めた道なら、しっかりやれって。

A「不知火さん。ありがとうございます。左之兄の槍を持って来てくれて。」

不知火「ああ。あいつは、十番組組長の原田は、このオレ様が認めざるを得ねェほど大した男だった。」

A「はい。左之兄は、やっぱりすごいです。」

私は左之兄の槍を抱きしめた。

不知火「あいつの体は、羅刹と戦った近くの木の下に埋めた。戦いが落ち着いたら、オレ様のところに来い。場所を教えてやる。」

A「何から何までありがとうございます。」

土方「何が何でも死ねねぇな。」

A「はい!」


不知火さんは、最後に頑張れよ、と一言残し、その場から立ち去った。

そして、私たちは仙台へ向かった。

貴方side.→←貴方side.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
25人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 妄想 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:彗. | 作成日時:2016年10月23日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。