貴方side. ページ37
A「はぁ、はぁ、はぁ………」
脇目も振らずにずっと走っていると、やっと島田さん達を見つけた。
しかし。
官軍兵「おい、貴様等止まれ!」
A「?!」
官軍兵「このようなところで何をしている!」
島田「くっ………。」
どうしよう。
私たちが固まっていると
土方「どけ!」
突然土方さんが官軍兵たちへ飛び込んで言った。
官軍兵「ぐわっ!」
土方「運が悪かったな、今の俺は虫の居所が悪いんだ。」
しかし、目の前にいた官軍兵の声を聞きつけたのか、丘の上にはさらに多くの官軍兵達がいた。
官軍兵「貴様等何者だ!」
土方「ちっ。島田、ここは俺が食い止める。隊士達を連れて敵の包囲を突破しろ。」
島田「分かりました。皆ついてこい!」
島田さんと他の隊士さん達は土方さんの指示通り駆け出した。
それを見た官軍兵は島田さん達に銃口を向けた。
が、土方さんの方が早かった。
土方「やめろォォォ!」
A「土方さん!」
私は急いで土方さんを追いかけた。
丘の上に登ると土方さんは次々と官軍兵を斬り伏せていっていた。
官軍兵「ぐあっ!」
官軍兵「がはっ!」
私も少し手伝い、その場の官軍兵は一人もいなくなった。
土方さんは死体の山の中で呆然と立ち尽くしていた。
土方「島田たちは逃げ切れたか?」
A「!?はい、おそらく。」
土方「そうか。………おまえも先に行け。」
私は素直に従う気になれなかった。
なんだか、今の土方さんをひとりにさせては行けない気がした。
いつまでもいなくならない私に、土方さんはいらいらしているようだった。
土方「何をしてやがる。さっさと行け!」
A「すみません。その命令は、聞けません。邪魔にならないようにします。だから……今はそばにいさせてください。」
そばにいることを許してくれたのか、土方さんは独り言のように呟き始めた。
土方「俺はなんのために、ここまでやってきたんだろうな。……なんで……なんで近藤さんを置き去りにして………てめぇだけが助かってるんだ?絶対に見捨てちゃなんねぇ相手を見捨てて……てめぇだけが生き残って!」
土方さんの肩は震えていた。
私は見ていられなくなって、土方さんの背中にそっと寄り添った。
A「土方さんが、近藤さんのことを思っているのと同じく、近藤さんも土方さんに死んでほしくなかったから、ああするしかなかったんだと思います。」
私の言葉で土方さんが楽になるとは思わないけど、何もせずにはいられなかった。
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彗.(プロフ) - 総ちゃんさん» コメントありがとうございます!期待に応えられるものが書けるように頑張りますね(*^^*) (2016年9月29日 19時) (レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2016年9月29日 18時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
平助 - 平ちゃん離隊しちゃうんだね(ノД`)・゜・。主人公がみんなを守れたらいいのに(ノД`)・゜・。主人公頑張れ(^▽^)/ (2016年2月10日 21時) (レス) id: d5fb67acfc (このIDを非表示/違反報告)
平助 - いやー、さすがっていうか天然女たらしだね歳は(・∀・)ニヤニヤただでさえ、勇さんも究極というか国宝級の天然ぶりだからね(^▽^)/新選組のみんなって、案外天然の集まりカモ(^▽^)/ (2015年12月22日 23時) (レス) id: d5fb67acfc (このIDを非表示/違反報告)
平助 - 歳とデート(・∀・)ニヤニヤ紅玉さん、いいところで邪魔しちゃ駄目だよ(●´ω`●)歳、主人公を甘味処に誘うなんてナーイス(^▽^)/このままいい雰囲気になればいいのに(・∀・)ニヤニヤ (2015年11月5日 23時) (レス) id: d5fb67acfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彗. | 作成日時:2015年6月14日 20時