鬼の村にて 貴方side. ページ12
不知火家
私は、一晩考えた。
原田さんをとるか、匡兄たちといるか。
そして、出した答えは。
A「匡兄、ちょっといい?」
私は、匡兄の部屋の前に来ていた。
匡「ん、Aか。いいぜ。」
私が中に入ると匡兄は銃の手入れをしていた。
匡「どうした?」
A「話があるの。」
匡「原田とのことか?」
私は驚いたが、さすが匡兄だと思った。
A「うん。昨日ね、言われたんだ。一緒に暮らさないかって。私、一晩考えたんだけど、原田さんと一緒にいたいの。そんなすぐに決めることじゃないかもしれないけど、人の一生は短いって言うし、少しでも長く二人でいたいの。」
匡「分かってると思うが、必ずお前は一人になるぞ。あいつは、どう頑張ったってお前より先に死ぬ。」
その事実を噛み締めながら私は頷いた。
A「分かってる。覚悟はしてる。」
匡「そうか。なら、良いんじゃないか。」
あまりにも簡単に許してくれた匡兄に私は驚きを隠せなかった。
A「えっ、いいの?本当に?」
匡「お前がいないのは寂しいし、心配だけど、前も言ったろ、お前が本気でその答えを出して、後悔しないってんなら別にいいんだよ。お前の生き方はお前が決めればいい。」
そう言って匡兄は頭を撫でてくれた。
A「うん、ありがとう。」
匡「もし、あいつがお前より先に死んだ時は、この家に帰って来ればいい。」
A「そんなに甘えるわけにはいかないよ。それに、一回出て行ったのに、また戻ってくるなんて匡兄が許してくれても、他のみんなが許してくれないよ。」
匡「そんなの、俺が強引にでも説得してやるよ。」
強引にでもってところが気になったが、それでも匡兄のその心遣いは嬉しかった。
うちの家に親はもういない。
本当は風間さんや千夏にも話してから行きたかったけど、仕方ない。
もしかしたら、京の街で会えるかもしれないし、そしたら言おう。
私は、ここを出て行く準備を始めた。
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彗. | 作成日時:2015年2月3日 22時