屯所にて 貴方side. ページ39
涙が出そうだった。
私は、必死に我慢した。
だって、原田さんだって辛いはずだ。
最近いつも話していた相手が、実は敵だったなんて。
A「・・・・わたしみたいなのが、原田さんに好きになってもらえるわけないし、そんな資格ない。」
そんなことを考えながら俯いていた。
すると、
原田「A‼‼」
⁈原田さん?
私はそーっと顔を上げると原田さんの姿がうつった。
A「っ・・・!来ないでください‼」
私は小刀を構え、そう叫ぶ。
原田さんも驚いたのか止まる。
A「ごめんなさい、私は不知火匡の妹。不知火Aです。もとから、人間の敵になりうる存在ですし、この京の街に来たのも、羅刹を倒すため。だから、貴方のことは・・・・利用出来ると思って、毎週あそこに話しに行ってました。だから、原田さんのことも・・・・・・・なんとも思ってないし、むしろ、嫌いです。だから、これ以上、私に関わらないでください!」
私は、原田さんを思いっきり睨んだ。
私は動揺していたんだと思う。
原田さんは、地を蹴りこちらに向かってきた。
私は一瞬のことで、どうする事も出来なかった。
槍で小刀をはじき飛ばされてしまった。
しまった!
このままじゃ!
原田さんはこちらに近づいてきていた。
私は斬られると思い、またもや目を瞑ってしまった。
でも、痛みはこなかった。
A「えっ・・・・?」
私は、原田さんに抱きしめられていた。
A「何を⁉離してください、私は貴方のことなんか・・・・。」
原田さんは少し腕の力を緩め、でも私が抜け出せないようにしながら、こちらを向いた。
原田「嫌いなら、なんでこんな辛そうな顔してんだ?なんで、泣いてんだよ。」
そう言って原田さんは私の目元を拭った。
いつの間にか、泣いてしまってたんだ。
どうしよう。
さっき、諦めたばかりなのに。
やっぱり好きです。
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作者名:彗. | 作成日時:2015年1月23日 22時