京の街にて 貴方side. ページ18
匡兄達が振り返らないってことは、気付かれてないのかな?
なんて考えながら屋根の上を飛び移りながら匡兄達を追いかけていると、3人はある建物の中に入っていった。
A「あそこが池田屋か。」
私は中には入らず、風間さん達が入った部屋を気配で確認し、その部屋が見える近くの家の屋根の上で気配を消して隠れることにした。
しばらくすると、浅葱色の羽織を着ている人たちが池田屋の様子を建物の陰から伺っているのが見えた。
新選組だ。
池田屋の中にいる尊王攘夷派の人達を捕まえに来たのだろう。
風間さん達がここにいる理由は新選組からその人たちを守ること。
私はどうしようか悩んだ結果、無理に出ていっても、風間さん達に迷惑がかかると思ったので、今回は見ているだけにすることにした。
するとしばらくして、戦いが始まったようだった。
悲鳴や断末魔、刀がぶつかり合う音などが絶え間なく響いてきていた。
見ていようと決めたけど、ずっとここにいるのは。
さて、どうしよう。
そう思い、キョロキョロしていると池田屋の裏に新選組の幹部らしき人がいた。
髪が赤い。すごく長い槍を持ってる。
なんでか私はその人から目を離せなかった。
眺めていたらその人がこっちを向いた。
目は合わなかったけど、その人の目は私達鬼と同じような蜜色の瞳をしていた。
綺麗だなんて。
どうしちゃったんだろう。
でも、このままその人を見ていたいと思ってしまった。
その人は、私達の敵なのに。
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作者名:彗. | 作成日時:2015年1月23日 22時