44 ページ44
12.
マンションの外観から自分の部屋の灯りが付いているのが見えて、斗亜が来てるって思った。
さっき拓哉と別れて、私が知らなかった、いろんな顔を持った斗亜に気付いて、言いたい事がいっぱいあったし、帰ってから連絡しようと思ってたから丁度良かった。
ふと携帯を見るけど斗亜から連絡は無かったから、斗亜がどんな気持ちでうちに来たかわからなくて本当は少し怖い。
だけど、斗亜が今、何を思ってるかわからないけど、私の気持ちはちゃんと伝えたいと思って玄関のドアを開けた。
部屋に入るとベッドで横向きにうずくまって斗亜が寝ていて、一瞬また倒れたんじゃないかと思いドキッとした。
慌ててベッドの脇にしゃがんで顔を近づけると規則的な呼吸が聞こえてホッとしたけど、斗亜の目から涙が零れてて、涙が斗亜の顔を伝ってた。
思わず斗亜の手をそっと握るけど、起きる気配はない。
ぐるりと部屋を見渡すと、部屋の掃除をしてくれてたのがわかる。
朝慌てて家を出たから、部屋着も脱ぎっぱなしだったし、食器も机に置いたままだったのに、綺麗に片付けられていた。
理由はわからないけど泣いている斗亜を見て、私も涙が込み上げるし、いつもは私に散らかさんといてって怒られる斗亜が部屋を片付けてくれてるのにも胸が苦しくなる。
「・・・ごめんね」
全然気づいてなくてごめん。
いつも恥ずかしくてちゃんと向き合えなくて、ごめん。
もっと、ちゃんと甘えれなくてごめん。
全部全部、斗亜へのごめんしか出てこなくて、どれだけ我慢してくれてたんだろうって思うと涙が次から次へと頬を伝う。
泣きながらそっと斗亜の涙を拭うと、斗亜の目がゆっくり開いた。
「・・・・・・何で泣いてんの？」
寝起きの掠れた声で私に優しく問い掛けながら、ぼんやりした顔で私の顔を見てるけど、まだ意識は寝てるような表情だった。
無意識な感じで繋いでない方の手で私の頬を撫でる。
その仕草が愛おしくて、繋いでる斗亜の手に力を込めると斗亜の目線が繋いだ手に移る。
「・・・・どしたん？なっちゃん？・・・おいで？」
そう言って繋いでる手を優しく引っ張ってきた。
引っ張られるまま斗亜の隣に寝転ぶと、私の身体を優しく抱きしめながら「・・・頼んない男でごめんな・・・俺ずっとなっちゃんの事傷つけてばっかりや」って、まだ寝てるような甘い声で独り言のように斗亜が呟いた。
その言葉に耐えられなくなって、斗亜の胸の中で私は声を出して泣き出した。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - 莉愛さん» コメント気付かずごめんなさい！申し訳ありませんが、全作品固定氏名で書かせていただいてます、、、。ので、名前変換はできないようになってます。それでも良ければこれからも読んでいただけると嬉しいです！ (2月12日 0時) (
レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
莉愛(プロフ) - コメント失礼します。名前が変換されなくなってしまいました😿直していただけたら嬉しいです (1月28日 0時) (レス) @page45 id: a7af77c404 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 高梨アヤメさん» アヤメさん。。。うっかりしてました。ありがとうございます。 (6月15日 20時) (レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
高梨アヤメ(プロフ) - 失礼します、オリ.フラ立っちゃってますよ〜💦 (6月15日 18時) (レス) id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2023年6月14日 10時
