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姉「Aは1週間くらい前から家に帰ってこなくなりました。」
実「それは俺も同じだァ。」
そう応えると、姉貴は意を決したように口を開く。
その口から出たのは予想を遥かに上回る内容だった。
姉「あの……もしかしたらA、月雪家のお嬢様なんじゃないかって。」
実「…何で」
だって月雪家は跡継ぎ息子しか残ってなかったはず。
姉「月雪家が襲われたあの日、倒れているAを助けました。少し前に妹を失った私にとって、Aは本当の妹のように可愛かった。そして、義理の姉妹になったんです。」
実「…」
そんな事があったなんて。何でAはあの日、倒れてたんだ?
姉「思い返すと、逆にお嬢様じゃない方がおかしいんです。月雪なんて珍しい苗字が同じ。しかもあの上品すぎる立ち振る舞い。あんなの並大抵の少女ができる事じゃない。」
実「たしかになァ。」
だとしたら、月雪家からすればAは大事な存在。
ちょうど1週間前に、連れ戻された。
これで、一応話に筋が通った。
俺は立ち上がる。
実「アンタのその仮説があってんなら、Aを連れて帰れるかも知れねェ。店主、金は今度払う!」
そう言って、俺は走り出した。
月雪家の屋敷なら分かる。
数年前、誰も助けられなかった事が悔しくて、残った屋敷の周りの鬼は全て狩るようにしていたから。
苗字が嫌いなこと。
月雪零を見た時のあの反応。
俺のことを実弥“様”と言ったこと。
あの日、Aが倒れていたこと。
……あの日俺は、生存確認をしっかりしなかったこと。
Aが月雪家のお嬢様なら、全て辻褄が合う。
もしそうなら、Aはあの光景を見たのか?
使用人が、自分の家族を食っている光景を。
1人生き残り、そのまま倒れたところを今の姉貴が助けたんだろう。
どれだけ辛かったんだろう。
そんな事を考えていると、あっという間に屋敷に着いた。
俺にとって警備なんてものは警備じゃない。
簡単にすり抜け、屋敷の壁際を走る。
俺はピタリと動きを止めた。
『…会いたい。』
屋敷を守る塀越しに、Aの声が聞こえたから。
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ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時