みんなが幸せならそれで【天祥院英智】 (ページ15)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:29,334 hit

【後悔しないために】ページ15

最近は、あの時と同じ…とは行かなくても
ちゃんとした曲が書けるようになっていた。

それはきっと、みんなと一緒に入れてるから。

オレにはまだ届かないけど、
いい曲だと思うぞ！

とレオにも言われるようになった。

この要望を拒否することもできるだろう。
でも、それじゃダメ…なんだと思う。
きっと、これが私が前に進むための
大きなきっかけになる、

『…ユニット』

「え？」

『どこのユニットの曲？』

私がこんなにすんなりと受け入れると思っていなかったのか
みんなして驚いた顔をしている。

衣装を作っていた宗も、
よくわからん実験をしてる夏目も
私の方を見た。

…オマエらの絶対知ってただろ

「ユニット、は…」

「fineだよ、僕たちの曲を書いて欲しい」

といきなりドアの方から聞こえて来た声。
その声の主を見て私は、思わず目を見開く

『…英智』

「やぁ、久しぶりだねA」

『うん』

「朔間くん、ちょっとだけA
　借りていいかな」

「構わぬぞい」

それじゃ行こうか、と英智が
手を差し出す。

私はどうしたらいいのかわからなくて
下を向いていたが

「A、お主いつまで
　過去から目を背けるつもりじゃ
　
　…いい加減向き合わねぇと
　後悔すんのはオマエだぞ」

その言葉を聞いて決心した。

いつか、向き合わなきゃいけない

そう心のどこかで思っていた。

その"いつか"が、今日になっただけ

だから、私は英智の手を取った。

手に触れて気づく、

緊張しているのは、不安に思っているのは

私だけじゃないと。

英智の手はかすかに震えていた。

そして、私と英智は歩き始める

「生徒会室でいいかな
　君が好きな紅茶を用意してるんだ」

『…え、覚えててくれたの？』

「もちろんさ、ずっと覚えていたよ」

『そっか…』

周りから、え…?と言ったような視線が集まる

その中に鬼龍や、奏汰もいて
驚いた顔をしたが

"行ってこい"

"なかなおりするんですよ〜"

と言ってくれた。