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弐拾弐 ページ23

「まあいい、中也君。下がってもいいよ」

「しかし…」

「任せ給え。そうだ、地下に面白いものがあるよ。見に行くといい」

「……失礼します」

中也さんは渋々と出ていった

パタン

「A!こっちへ座って!」

『ありがとう……初めまして。武装探偵社社員のAAです』

「私は森鴎外。ポートマフィアの首領だ。要点だけ言おう

ポートマフィアへ入らないかい?」

『……なんで私が』

「君の身体能力に加えて異能…『再生』かな?それはマフィアにとって大きな即戦力となる。君ならすぐに幹部にもなれるだろう」

『興味ありませんね。私の居場所は探偵社ですので』

「…そうかい……探偵社が居場所、ねぇ……それは本当かね?」

『……どういう意味でしょうか』

「薄々分かってはいるのだろう?私も君の目を一目見て確信したよ。君はこちら側の人間だ

汚れの知らない者達に囲まれる気分はどうだ?苦しいだろう?君は人助けには向かないんじゃないのかね?」

『……』

言われなくても分かってる

開き直って明るく取り繕っても、いつもふとした瞬間に空腹が蘇る

私は『喰種』で、人間は『食事』

一緒に居てはならない

それでも

『私は自分の贖罪の為に…人間を救いたいのです。それが私の願いなので』

「………まあいい、今回は諦めるとしよう。1つ質問させて貰ってもいいかね?」

今回はってなんだ

『なんでしょう』

「君に戸籍がないのは何故かね?」

『………え』

え?私戸籍ないの?

いつから?横浜に来てから?

「…その反応は、どうやら知らなかったようだね」

だとしたらなんで…社長は、探偵社の人達は何も言わないの?

知らない筈がない

「悪いことを聞いたね。済まない。あぁそうだ、出来れば私の事はこれからは森さんと呼んでくれるかね」

『も、森さん?』

「そうそう。その方が仲良くなれそうだからね」

『は、はあ…』

「Aは私と仲良くするのー!」

エリスちゃんは私にぎゅーっと抱きついた

『嬉しいなぁ。私もエリスちゃんと仲良くなりたいな』

エリスちゃんはキラキラと輝いた笑顔を私に向けた

「地下に中也君が居るからそこまで部下に案内させよう。帰りは中也君に送って貰うといい」

『…分かりました。それでは、失礼します』

私は一礼し、扉をゆっくりと開いた

『…そうだ、森さん。一つ訂正を』

「なんだね?」

『私はどちら側の人間(・・)でもありませんよ』

私は重たい扉を閉めた


「……中々面白い子だ」

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作者名:やきなす | 作成日時:2020年11月10日 11時

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