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事務所にはAを置いとく部屋もなく、とりあえず部下に仕事を任せて俺はAを連れて自宅マンションに向かった
黙って俺に着いてくるA
自宅マンションの空いてる部屋に案内した
千冬
「とりあえず、この部屋使え
俺が出る時にはお前も連れてかなきゃならねぇ
管理下に、ってお達しだからな
足りねぇもんがあれば言えば用意させる
ベッドはあるから、とりあえず今日はなんとかなるか?
ぁ、言っとくけど逃げようなんて思うなよ
ソッコー捕まってあの世行きになるだけだからな」
A
「…わかりました…
なんだか松野さん、優しいですね」
千冬
「優しい?俺が?」
A
「だって、私みたいのなんて、普通ならそこらへんの床に転がしておけばいいものを…」
そういうAの顔は、全てを諦めているように見えた
帰宅して数時間
空いてる部屋に案内してからあいつは一度も出てこない
妙に気になってしまう自分がいた
場地さんの面影が重なる女…
ただ、それだけなはず…
様子が気になり、部屋のドアをノックする
応答がない
千冬
「おい、入るぞ」
ドアを開けると、薄暗い部屋の中、ベッドに腰掛けるA
その手に光るものが見えた
千冬
「おい、なに持ってんだよ!」
やばい、と直感して取り上げようと彼女に近づいた
慌てすぎて、取り上げるのに失敗した
Aは後ろに倒れ込み、俺は彼女に覆い被さる体勢
そして、俺の喉元に突きつけられるナイフ
そもそも、持ち物くらい確認してから事務所に連れてこいよ
部下の失態に毒づく自分
千冬
「…普通のOLが持ち歩くようなもんじゃねぇよ、それ」
A
「…あなたは、これが何かわかる…?」
これ、がその手に持つものだというのは、わかる
それが、なんだ?
…いや、どっかで見たことある気がする
A
「…あの人が…、圭介があの日持っていた…
圭介が自分を犠牲にして、マイキーと一虎を守ったもの…
まさか、忘れてないですよね、松野千冬…」
思い出した
あの日、場地さんが自身を刺した、あれだ…
ずっと持ってたってことか…
A
「東卍は変わってしまった…
圭介が大切にしてた東卍の面影は何もない
彼は、何のために命を落としたの?
こんな集団にしたくて命を落としたわけじゃない
あなたはそこで、何をしているの?
圭介の何を見ていたの?」
俺だけじゃなかった
場地さんを想う人が他にもいたんだ
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年11月1日 13時