あの未来 〜3人だけの、千冬の記憶〜 ページ47
部下が事務所に連れてきた女
その姿に、驚いた
ゆるいウェーブがかかった黒髪
茶色い瞳
口元に見える八重歯
在りし日の、あの人の姿と重なった
よく見れば、女とはつい最近会ったことがある
偶然目にしたペットショップだった
俺みたいな人間が、ペットなんて飼えるはずもねぇのに
何気なく入った店
そこに、黒猫を見つめる女がいた
俺に気付くと、女は言った
A
『…あなた、圭介の葬儀に来てましたね?
松野千冬さんですよね?
私、場地A、圭介の従兄妹なんです
子供の頃、圭介からよくあなたの話を聞かされました
見てくださいよ、この子
ペケJにそっくりで…』
きさくな女だと思った
千冬
『よく、俺のことわかったな…
別にあんたとは話したこともなかったはずだけど…』
A
『覚えてますよ
だって、あんなに葬儀で大泣きしてたんですもの…
それに、私結構記憶力良いほうなんで…』
それが、Aとの出会いだった
次に会った時、Aは俺の部下に後ろ手で縛られ、事務所に連れてこられた…
無理に膝をつけて座らされて、さすがに気の毒になった
千冬
「おい、とりあえずその腕は外してやれ」
俺がそう言うと、1人が慌ててAの腕の拘束をはずした
千冬
「で、俺はなんも聞いてねぇけど、どうゆうことだ?
誰か説明しろ」
男
「いや、実は…
ボスから場地Aを怪我させずに連れてこい、と命令が…」
タケミっちが?
…多分、稀咲の小間使いか…
千冬
「で、女をここに連れてきて、どーすんだよ
さっきも言ったけど、俺なんも聞いてねぇぞ」
男
「それがっ、ボスがあとは松野さんに任せるとのことで…」
千冬
「…はぁ?
ったく、俺にどーしろって言うんだよ…」
そんなやりとりをしてると、俺のスマホが鳴った
タケミっちだ
武道
『場地A、連れてきたか?
そいつ、とりあえずお前に預ける
人の形をした記憶媒体だとよ
とにかく、傷つけるな
それと、外部と接触させるな、幹部の管理下に置け
どうしても外に出る時は幹部が同伴しろ
それが稀咲からの命令だ』
一方的な電話だ…
千冬
「おい、この事務所で空いてる部屋あるか?」
男
「いえ、今は物置状態だったり、応接として使ってまして…」
くそっ、幹部の管理下って、今ここには俺しかいねぇ…
千冬
「…しょうがねぇ…
場地A、着いてこい」
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年11月1日 13時