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A
「海…」
千冬に連れてこられたのは、海だった
子供の頃、圭介くんたちと来たことがある、懐かしい場所だった
A
「千冬、なんでここに…?」
千冬
「…Aと、来たことあるから
ガキみてぇに靴脱ぎ捨てて、海入ったわりに冷てぇとか言って…」
笑いながら千冬は言った
覚えてない、共有できない思い出
一虎に、本当は千冬と付き合っていたこと、別れたショックで記憶を無くしたことを、聞いた
でも、なんだかまだ、ぴんとこない
たしかに、千冬のことを考えると、なぜか苦しくなる自分がいるんだけど…
A
「ごめんなさい、覚えてなくて…」
千冬
「いーよ
すぐに全部思い出せってわけじゃねぇし」
ニッ、と笑う千冬
この表情、すごく安心する
まるで、私に心を許してくれてるような、そんな顔
2人で並んで眺める海は、なんだか懐かしい感じがした
空き地になった場所に連れてきてもらった
子供の頃、駄菓子屋があって、圭介くんと来た場所
中高生が集まるファッションビルも圭介くんと来たことある場所
圭介くんとの思い出はあるけど、千冬と来た記憶はない…
別のファッションビルの入り口に入ると、ジュエリーショップが目に入った
吸い寄せられるように、ガラスケースに並ぶジュエリーに目が奪われた
千冬
「なんか気になるのがあった?」
A
「ぁ、うぅん…
なんか、ここには来たことがあるような気がして…」
千冬
「あるよ
俺とここに来た」
A
「…そぅ…
ごめんなさい、ちゃんと思い出せなくて…」
千冬
「だから、いいって言ってるだろ?
無理して思い出さなくても、別にいいから
それより、ほしいのあるならプレゼントする
今日の記念に」
A
「そっ、そうゆう意味で眺めてたわけじゃなくてっ…」
慌てる私に、千冬は笑った
千冬
「わかってる
お前、そーゆーのねだったりしねぇもんな
気に入ったのがあったら、そん時な」
A
「…うん…、ありがとう…」
千冬
「じゃ、次行くか」
そう言うと、さりげなく私の腰に腕回して歩き始めた
突然のことだったけど…
嫌ではなかった
なんだか、彼が近くにいると、とても安心する
不安な気持ちが少しずつはれていく
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年11月1日 13時