5 ページ5
.
「おまたせ。」
お風呂からあがってきた一松は、
頬がほんのり赤くなっていた。
「髪、ちゃんと乾かさなきゃ。」
私は一松の頭をタオルで拭いた。
私と一松の身長は15cmくらい差があるけど、
こうしてベッドに座っていると、身長差を感じない。
「ねぇ」
「なーに？」
「…抱きしめてもいい？」
「うん、いいよ。」
一松が私を抱きしめる。私も一松を抱きしめる。
普段運動はしないと言うけど、
一松の腕は男らしくて、筋肉がついていた。
「…ずっと、一緒だよね？」
「うん、ずっと一緒だよ。どうしたの？」
「いや、なんかその…ちょっと不安になった。
Aがいつか離れていくんじゃないかって。」
「そんなことないよ。私には一松だけだよ。」
嘘だけどね。
「明日から、学校…？」
「うん。でも、明日もバイトがあるから、また会えるよ。」
「そうだね…」
一松が私を抱きしめる力をどんどん強くしていく。
「一松、ちょっと痛い…」
「えっ、あっ、ごめん…！」
それから私と一松は、
テレビを見たりゲームをしたりして遊んだ。
ゲームに負けた一松の悔しそうな顔が可愛かった。
気付けば日付を超えてしまった。
「そろそろ寝なきゃね。」
「うん。…抱きしめて寝ていい？」
「うん。」
私と一松はまだ一線を越えていない。
一松曰く、そういうことをするのは、
もう少し時間が経ってからが良いんだと。
私はもう心の準備が出来ているのに。
一松は純粋で可愛いなぁと思いながら、
その日は眠りについた。
朝目が覚めて、いつも通りに身支度をし、
寝ている一松を残し、私は一松の家から出た。
今日はほぼ大学で一日を過ごす。
女子大だから男との出会いなんてない。
でも私は高校生の時、ここの女子大を第一志望にした。
一番の理由は、「男受けがいいから」。
それ以外、私になんの理由があるというの？
この女子大のおかげで、
私は合コンでエリート予備軍の男と付き合えたのよ。
その男は…、
「チョロ松くん！おはよう。
電車で会うなんて、偶然だね。」
「あっ、Aさん…！お、おはよう！
そ、そうだね！偶然だね！」
この人、チョロ松くん。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆり松 | 作成日時：2018年3月25日 14時
