その20 ページ21
朝起きると、いつも通り浴衣の襟元が緩んで胸元がはだけていた。寝相が悪いのが幾つになっても直らないのが、最早近頃の悩みと化している。
『……着替えよう』
まあ、この為の一人部屋である。幼い頃は二人して『独りは嫌だ』と言ってコネシマと布団を並べて寝ていたが、よもやそんな歳でも無いのだからぼっちで寝る以外の選択肢は存在しない。余談だが、我が両親は大変仲睦まじい為毎晩隣り合わせで寝ている。組の安泰という意味ではとても喜ばしいのだが、二人きりでお楽しみなので私が弾かれてぼっち寝なのは少し悲しくはある。
「お嬢、サン。仕切り開けても…ええ？」
『お？ゾムか、着替えは終わったから良いぞ』
早い所布団も納戸に入れたいしな。呼び掛けにそう応じれば、ガラリと向こうから仕切りの壁が引き開けられた。…そう言えば、ゾムは寝る時フードをどうしているのだろうか。チラリとそんな事を思ったが、まあチーノもショッピも悪ノリはするが人の嫌がる事はしない子達だし大丈夫だろう。
「おはよーございます！」
「おはざーす」
『お早う』
珍しくチーノがちゃんと起きている。いつもはお寝坊さんだと言うのに、ゾムの前だから見栄を張ったのかも知れない。
『ゾムも、お早う』
「あ…お、はよ」
制服のズボンだけ持って所在無さげに手を動かすゾムに笑い掛け、『洗濯物は向こうだ』と指さした。
『緑のパーカー、学校に着て行くんだろ？夜の間に洗って乾燥機まで回してくれてる筈だから、あっちに置いてあるぞ』
「あ…あんがと」
『お礼ならロボロとトン兄に言わねぇとな』
「解った」
若衆の中で家事を担うのは、基本的にロボロとトン兄の二人である。料理、洗濯、掃除がきちんと出来る面子がこの二名なのだ。お陰様で、私は高校生にもなって洗濯機の使い方を未だに詳しくは理解していない。この家の人達は、将来私を独り立ちさせる気が無いんじゃないかと時折思うくらいだ。
「良いなぁ、お嬢と同じクラス……僕もせめて同じ学校やったら良かったのに」
「俺もゾムさん羨ましい…」
『我儘言うなよ。それに、お前らは同じ学校に居たら昼休みとかでも確実に私の教室に凸って来るだろ』
「まあそうですね。ダメですか？」
ダメでは無いが、と首を振り、髪の毛を一つに纏めて結んだ。
『うっかり“お嬢”なんて呼んでみろ、最悪な事になる』
「……確かに癖で言っちゃいそう」
まあ、その分家でならどんな話でも聞いてやるよ。そう言って、“弟”達の頭を撫でた。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
