３０ 学園へ ページ32
『それではお父様、行ってきますね』
春、まだほんのり冷たい風の吹く、花々の咲く美しい日。入学式にはおあつらえ向きの天候だ。私はローザ学園の制服を身にまとってお父様に挨拶していた。
「ああ、くれぐれも問題は起こすなよ」
『まさか』
なんてことを言ってくれるんだ。あいかわらずお父様は私への信頼が無い。
「今年からは夜会で社交ダンスもするんだからな？せめてその時くらいは令嬢らしくしてくれよ？」
『パーティーに参加しなければ大丈夫なのでは？』
「……行くか行かないかはロボロ君の判断に任せてくれ」
深いため息をつくお父様。きっと将来的にも私はダンスする必要は無いだろうし、ぶっちゃけまともに踊れないから騎士見習いとして立ち合うだけになるだろうけどね。
em「Aお嬢様、長期休暇くらいは帰ってきて下さいね。やはり寂しいですから」
ht「お嬢〜！ショッピは任せてね、頑張って」
『うん、エーミールさんも、ひとらんさんも元気でね』
鞄を手に、エーミールさんが開けてくれた扉から外に出る。そこにはしっかりと馬車が待機していた。
『うげっ』
「いや、流石に王都まで歩かせる訳にはいかないからな。大人しく乗ってくれ…他の3人も同じ馬車に乗っているから」
『…はーい』
そちらを見れば、ゾム、シャオとロボロが馬車のドアから身を乗り出して手を振っていた。皆もう来てたのか。ショッピは後ろで手を組んで、つまらなそうに小石を蹴って遊んでいる。
「ほら、待っているだろう」
『はい。行ってきます』
ニッコリ笑えば、お父様は眩しそうに目を細めて私の頭を撫でた。
「お前が選んだ道だ。後悔の無いよう、やるならとことんやりなさい。女らしくあって欲しいのは私の願いだが、強制する事はしないさ……私はいつでも、お前の事を応援している。それを忘れるなよ」
『…！はい』
嬉しくなって、思わず目を伏せる。お父様はいつだって、私の行動を否定したりなんかしないから……そんなお父様が、大好きだ。私はひとつ息をつくと、胸に手を当てて腰を折る、普段と変わらぬお辞儀をした。
『では』
またそんなご子息のような礼を、という嘆きの視線を感じながら馬車に向かう。
rbr「お手をどうぞ、お嬢さん」
『ありがと』
小さい頃は私がエスコートしていたから、何だか新鮮。ロボロに引っ張られて馬車に乗り込み、窓を開けてショッピにまたねと言う。
syp「ほな」
お互いの姿が見えなくなるまで、私たちは手を振り合っていた。
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しぇけなべいべ(プロフ) - かわいいかわいいかわいい撃ち抜かれた心帰ってこない.... (2020年12月5日 12時) (
レス) id: a746dec877 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - ぺぴさん» ありがとうございます！頑張りますね！！ (2020年11月13日 19時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 紫苑さん» ありがとうございます(人´∀`)♪あたたかいお言葉がとても嬉しいです！ (2020年11月13日 19時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぴ(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです！！関連ランキングから見つけたんですけど、本当に好きで今めちゃくちゃ見返してます笑更新頑張ってくださいっ！ (2020年11月13日 16時) (レス) id: 8a41c6f408 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 推しの幼い描写が最高です。今後の2人の関係がとても気になる、微笑ましい作品です。これからも応援してます。 (2020年11月13日 5時) (レス) id: 75ef52599e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年11月11日 21時
