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ムカつくなんて、言われるとしたらケンカをしていた時期だろうか。
なんだか急に恥ずかしくなって、俺は思わずうつむいた。
「めちゃくちゃ嬉しそうな顔してましたよ、あいつ。」
「…嬉しそう？」
「はい。あれは怒ってるふりです。…まあ、あいつ寂しがり屋っすから。」
そう言って、その人—“かいと”さんは懐かしそうに笑った。案外、気のいいひとなのかもしれない。
「…前からあったんですよ、元太の手術の話。」
「え？」
今日何度目かの聞き返し。でも、「手術」っていう言葉で、さっきまでとは確実に話の重さが違うのが分かった。
「結構難しい手術なんで、まあ確実じゃなかったんです。だからかこいつ、なかなか受けたがらなくて。…でも、それこそつい最近、急に手術受けたいって言い出したんですよね。」
かいとさんは全てをわかったような表情でチラッと俺のことを見ると、ふっと笑った。
「かいとと話してから受けたいって、そう言ってました。背中押してもらうんだって。」
弱いやつっすねえ。
信じられないくらい優しい声で言われたその言葉が、頭の中でこだまする。
元太の人懐こさは、寂しがり屋な性格と表裏。
明るくてポジティブな言動は、繊細さの隠れ蓑。
そんなこと、わかっているはずだった。わかりすぎて、あえて目を向けることもなかった。
きっとあの日、元太は俺に手術の話をしようとしてた。そして、本当はそれが怖かったんだ。でも、それを隠すように明るく俺をからかって。
「っなんで、俺はもっとっ……」
もっと、元太の奥にある弱さに踏み込んだらよかった。もっと、寄り添ってあげればよかった。
俺は、そんな漠然とした後悔に押しつぶされそうになっていた。
「…あの、言いにくいんすけど、」
「はい、？」
「そんなに、ここに通わなくていいと思います。このままだと、壊れます。」
自分の心、自分でもっと守った方がいいと思います。
最後に言われたその言葉が、心に重々しい影を落とした。
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おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして！コメント、とても嬉しく励みになります…！ありがとうございます！！これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月26日 16時) (
レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています！ (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2021年10月3日 10時
