30松 ページ32
―――***
お互いの足の汚れを拭いた後、空はすっかり暗くなったから中に入って一息つくことにした。
今俺は居間でこっちに来た日の事を思い出しながら紙とペンと向き合っていて、そのすぐ傍でニャンコが寛いでいる。彼女は白猫と共に入浴中。
白猫を見た彼女が家に入れていいと許可をくれたんだけど、元々の汚れか床下にいたせいか、蜘蛛の巣やら何やらであまりにも汚れていたから一緒に風呂に入ってしまおうって訳で、今は彼女に白猫を任せているんだけど…。
「シャーーー!!」
「いいい痛い引っ搔かないで!大丈夫だから!平気だから!」
「フゥーーー!!」
「大丈夫…大丈夫…」
「フシャーーー!!」
「〜〜〜〜〜ッ!?」
さっきから叫声が止まらない、猫は水苦手だからしょうがないんだけど。加勢した方がいいかなあれ?
…いや今あいつ服着てないし行く勇気なんてある訳ない、今までの事謝る勇気すら無いのに、行ったら死ぬ視覚的に。
今は目の前にある紙とペンに意識を集中させなければ、実際まだなんも書けてないし。
―――ニャシャァァァァ!!
―――イタァァァァァイ!?
―――フアシャァァァァ!!
―――イヤァァァァァァ!?
―――ニャッパァァァァ!!
―――アッパァァァァァ!!?
集中できるかッ!!
思えばこのやり取りで気が散って書けずにいたんだった。
「…だ、大丈夫ー?」
「な、なんとかー!もう洗い終わったので大丈夫ですー!…あ、でもちょっとお願いがー…」
「?」
「今ドア開けたらこの子、濡れたまま逃げちゃうと思うのでドアの前で待ち構えててほしいんですけど…」
「……バスタオルどこぉ?」
「…!…風呂場の前の洗濯機の上に置いてあります!」
重い腰を上げて脱衣室に向かう。
猫は体温調節ができないから体を冷やしたら大変だ。でも彼女じゃ白猫を捕まえていられるとは思えない。やれるのは俺しかいない。
脱衣室に行くと言われた通り洗濯機の上にバスタオルが置いてあった。手に取って浴室にいる彼女に声を掛ける。
「もうドア開けて大丈夫だよ」
「ありがとうございます。じゃあ開けますね」
ガチャッとドアが開かれた。
そしてその時気付いた。
これ、下手したら見える。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時