29松 ページ31
〈何故入り口が狭まってしまったかは分からないダスが、きっと何か理由があるはずダス。その原因が分かればきっと此方に帰ることができると思うダス。
だから、一松くんがそっちに行った時の状況を手紙に書いて、このカプセルに入れてこっちに送ってほしいダス。心配しなくても、そのサイズなら今でもゲートをくぐることは可能ダス。
他にも聞きたい事や気になったことがあれば手紙に書いてほしいダス。
という訳で、返事待ってるダス〜。デカパンより〉
「……原因…」
「何か思い当たる事とかありますか?」
「……いや…」
「…、とりあえず中に入りましょうか。足拭きタオル持ってきますね」
「…ん」
土だらけの靴を脱いで縁側から家に入って行った彼女を見送り、ずっと緊張で溜め込んでいた息を吐き出した。
「(……良かった…本当に…)」
ドッと安心感が押し寄せてきて思わず縁側に力無く腰かける。
…こんなにもあっさりと見つけてしまうなんて…、流石は一軍の人間。俺だったら絶対に見つけられなかったと思う。
…とはいえ相当頑張ってくれたんだろうな…、あんなに汚れてまで山に登ってくれたんだから。俺なんかの為に池にまで入って…。
「(……流石にお礼言った方がいいよな…。いままでの事も謝らないと…)」
…けどまだ安心はできない。原因が分からないと向こうには帰れないのだから、あの時の状況を何かしら思い出さないと…。
「…にゃーん」
「!」
縁側の下からニャンコではない別の声が聞こえた。覗いてみるとあの白猫が不安気な表情で身を屈ませていた。
あれ、てっきりもう寝床に帰ってたと思ってたのに…、もしかして彼女が帰ってきた時から警戒して隠れてたのか?
「騒がせてごめん、もう大丈夫だから」
そっと手を伸ばせば少し警戒しながらもゆっくり近づいて来た白猫。と、そこにペタペタと足音が聞こえてきた。
「おまたせしました。タオル持ってきまし……、松野さん?」
シッと口の前に指を一本立てると、彼女は疑問符を浮かべながらもその場に立ち止まってくれた。さっきの足音の振動でまた白猫は警戒し出してしまったけど、俺が猫化すれば徐々に瞳孔は細くなり、安心したのか縁側から出てきてくれた。
彼女は俺の猫化に驚いたみたいだけど、縁側の下から出てきた白猫を見てなるほどと言ったように顔をほころばせた。
その足は若干濡れていて、床は少し足跡で汚れていた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時