21松 ページ23
「(…野良か)」
少し痩せてて毛並みはボサボサなうえ汚れていて、首輪をしてないことから野良だとすぐに分かった。
飼い猫ならまだしも野良となると警戒心は強い。しかもオス同士だった場合は喧嘩も起きやすい。
俺のいる位置からは雄か雌かの判断はしにくいから、いつでも俺も仲介できるようにと体勢をとる。
緊張が走る中、最初に動いたのはニャンコの方だった。
動いたと言っても、一つあくびを溢して毛繕いをし始めただけ。でもこの行為は猫にとっては“敵意が無い”という意思の現れ。
もともとニャンコはのんびりした性格だから、無駄な喧嘩は自らしないタイプだ。
白猫はニャンコを見つめたまま動く気配は無く、まだ警戒しているみたいだ。
「…」
何故だか俺はその光景に、既視感を覚えた。
いつどこでかは分からないけど、同じような事を見たというか…感じたというか…。
首を捻れながらニャンコ達を見守ること数十分。ガサッと茂みが動く音がして再び緊張が走る。
生垣の下にいた白猫がゆっくりではあるがニャンコの方に近づいてきている。
ニャンコは未だに毛繕いを続けているが、耳だけは白猫に向けていて意識はしてるみたいだ。
「…」
「…」
「…」
ピンと張り詰めた空気の中、二匹の距離は徐々に縮まっていき…。
そして――
――ピトッと二匹は鼻を突き合わせた。
「にゃあん」
「にゃー」
猫同士の挨拶が無事に完了し、ホッと息を吐いた。
二匹は互いに毛繕いし合い、緊張状態にあった場にはほんわかした空気が流れ始める。
あぁ…久し振りの癒しだ…。
癒しを眺める事でだいぶ気分が楽になった気がする。疲れた時にはやっぱり猫が一番だ。
と、白猫を見ているうちにさぞ腹を空かせているではないかと思い、猫達に飯をやろうと部屋に置きっぱだった餌を縁側に持ってきた。
ニャンコはそれを見た瞬間まっしぐらに縁側に戻ってきたけど、白猫は人間を警戒しているのか俺をジッと見つめたまま動こうとしない。
・・・・。
――ニョキ
「っ!?」
「…」
「…」
「…」
「……にゃー」
「…うっし…!」
猫化により和解成立。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時