9松 ページ11
「……え?」
「最初は間違えたのかなって思ったんですけど、でも本当に繋がらなくて…、松野さん一回スマホでかけてみてくれませんか?」
そう言われて渡されるスマホ。
すでにダイヤルの画面になっていたからそのまま番号を打つ。
だけど聞こえてきたのは、〔おかけになった電話番号は現在使われておりません〕という無機質な声だけだった。
「…なんで?」
「間違ってないんですよね?」
「うん」
「…」
「…」
「……」
「……」
「…松野さん?」
彼女のスマホでネットを開いて住所を検索してみる。
俺はこの時、ある一つの不安を感じていた。
それは、昨日のデカパンのあのゲートのような機械。
実のところ、あれに飲み込まれてからというもの何処か違和感を感じていた。
何というか…、空気が違うように思えるのだ。
今までいた所とは全く別の場所のような…。いや、実際別の場所に飛ばされてるんだけど…。
なんて思いながら検索結果を見てみる。
だけど、どの欄にも俺ん家の住所は載っていなかった。
一瞬だけ、呼吸の仕方がわからなくなった。
検索の所にもう一回住所を入れてみる。
だけどやっぱり、名前が似たような住所しか出てこない。
それどころか赤塚区そのものも出てこない。
震える手でマップを調べてみる。
あちこちにスライドして見てみるけど、俺の知っている町がどこにもない。
公園も、店も、デカパンラボも、ハタ坊のビルも…。
…俺の帰る家も…
……どこにもない…。
身体が震える。
汗が止まらない。
目眩がして気持ち悪くなる。
「……ここ…ど…こ…」
「…松野さん?」
「………ぁ…ッ…」
俺を呼ぶ声が遠くなっていく。
目の前が真っ暗になる時、最後に視界に映ったのは…
慌てて俺に何かを呼びかける
あの女の姿だった。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時