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38-3 現代タケミチsaid ページ17

銃声があたりに響いた。
オレ自身に撃たれた痛みはなかったが、上からの重みが軽減されるのを感じた。
銃が地面に落ちたことを聞いて目を開けば、視界からマイキー君が消えていた。


「大丈夫ですか!!?タケミチ君!!」


声のした方を見れば、銃を構え焦っている様子のナオトがいた。
そんなナオトをみて、まさかと思いマイキー君に視線をやれば、頭から血を流してるマイキー君が倒れていた。


「マイキー君!!!!」


そんなマイキー君にオレは反射的に飛びついた。


「タケミチ君、近寄っちゃダメだ!」


後ろでナオトが何か言ってるが、オレはそれどころではない。


「マイキー君!!!マイキー君!!!」


マイキー君の血が付着した手が視界に入る。


「マイキー君!!!!」


「橘ナオトか…」


下から聞こえた声にオレはマイキー君を見る。


「……ありがとう」
「たぶん…タケミっちにはムリだったから」


「マイキー君」


「やっと」
「終わるんだね」


マイキー君の目に涙が浮かんでくる。


「オレの人生は苦しみだけだった」


そんなマイキー君を見てオレの涙は勝手に溢れ、勝手に口が動く。


「そんな事言わないで、マイキー君」
「オレ……変えれるから」


ナオトから驚きの声が上がる。


「オレ、過去に戻れるんだ」
「やり直せるんだ」
「こんな現代(みらい)になんないようにオレ、頑張るから」
「絶ッ対ェ…絶ッ対ェ諦めないから!!」
「だからそんな悲しい事言わないでっ」


涙がさらに溢れると、「ふふ」と微笑む声が聞こえた。


「ありがとうタケミっち」
「オレを慰めてくれるんだな」
「嘘でも嬉しいよ」
「……でも、もしできるならさ」
「Aを変えてくれないか…?」


「え……?」


なぜそこにA君の名前が出てくるのかわからなかった。


「なんでA君を…?」


このやり方(邪魔者は殺す事)…」
「Aからだった」


「!!?」


「タケミっち」


マイキー君がオレの名を呼ぶ。


「……ハイ…」


「オマエの手…」
「あったかい」


マイキー君はその言葉を最後に何も言わなくなった。


「嘘だよ、返事してよ」
「ねぇ…マイキー君…」


何も言わないマイキー君を抱きしめ、出会った頃からの言葉が脳裏に流れる。


「タケミチ君…」


そして、オレは改めて覚悟を決めた。

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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