お隣さんはそらるさん【そらる】

お隣さん34 ページ35

それからしばらくすると、
こと、という優しい音と共に私の目の前にシチューが置かれる。
万人受けする食べ物の一つ、シチューだが…私の好物だ。
中でもじゃがいもが美味しいのだ。

そらるさんはよく分かっている。
少し小ぶりなじゃがいもがごろごろと入っているのだ。
…絶対美味しい。

「いただきます。」

私がそう言うと、
そらるさんは「どうぞ」と言いイケメンスマイルを向ける。
いや、神々しい。

…と、思えるぐらいにはもう回復していたのだが、
シチューの美味しさが身に染みる事に変わりは無かった。

「好きだな、」

気付くと、私はそう呟いていた。

その“好き”は、
シチューに対するものなのか、
そらるさんに対するものなのか。
はたまた彼方さんに対するものなのか…

私には、もう分からなかった。

久々に食べた温かい、暖かい料理が美味しくて、
つい、ぽろりと声が漏れてしまったのだから。

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