一生に一度の恋３ (ページ6)

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独りページ6

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そして高校卒業後、
私もカズも特にやりたい事も無かったので
お互いフリーターになり
アルバイトに明け暮れる毎日。

カズが一緒のバイト先が良い！と言って
焼肉屋の面接に来た時は驚いたが、
デザートのアイスを２人でつまみ食いしたり
団体客の準備にブーブー文句言っていたが
気前の良い人達で沢山チップを貰って
２人で感激した事は今でも良い思い出。

そしてあと数ヶ月で２０歳になるという
５月の連休も明けたある日。

私にまた悲しい不幸が降ってきた。

私の後見人だった伯母さん夫婦が
職場の火災事故で帰らぬ人になってしまった。

伯母さん夫婦は
小さいグループホームを経営していて
ほとんどそちらで寝泊まりしていた為、
顔を合わせる事は少なかったが
本当の娘のように私の事を
優しく、時には厳しく接してくれた。

火元は隣の家の火の不始末だと言われたが、
伯母さん夫婦は最後の最後まで
入居者の安全の確保に必死だったんだと。
結果的に従業員、入居者全員が無事だったが
伯母さん夫婦は逃げ遅れてしまったらしい。

私は失意のどん底まで落ちた。
本当に落ちる所まで落ちた。

バイトも全て辞め、家へ閉じ籠り
生きる魅力も感じられず、
今を生きている感覚さえ無くなった。

そんな私の代わりに動いてくれたのは
何を隠そう、カズだった。

沢山の手続きなど
本当に大変な事ばっかりだったのに
嫌な顔ひとつせず手際良く終わらせてくれた。

そしてカズはバイトが終わると
必ず私の所に寄って泊まる時もあれば
顔を見るだけで
自分の家へ帰っていく事もあった。

「A、ただいまー。
ちゃんとご飯食べた？」

「じゃあ、オレ帰るけど、
ちゃんと戸締りしてよ。
明日も来るから。おやすみー。」

いつもこんな風に
カズらしく優しく声を掛けてくれた。

今思えば凄く有り難かった話なのに
あの時の私は、カズの事なんて
考える余裕すら無かったんだ。

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