一生に一度の恋３ (ページ28)

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自分の過去ページ28

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『私のお母さんって
娘の自分が言うのも何なんだけど、
本当に綺麗で美人で明るくて…。
少しだけ頑固な所もあったけど、
自慢で憧れのお母さんだった。

……でも、お母さんもこういう仕事、
私と同じ様な仕事してたの。』

保育園に迎えに来るお母さんは
微かに石鹸の匂いがして、
顔は今の私の仕事後と同じヨレ方。
気付いたのは中学に上がった時だったが
女で一人、必死に私の為に働く姿見てると
何故か…私には格好良く見えていた。

弱音ひとつ吐かず、私の前ではいつも笑顔。
泣いた顔もほとんど見た事が無い。
仕事は朝から夕方までだった為、
ご近所さんも誰ひとり
お母さんの仕事には気付いていなかった。

『それでもいっぱい愛情もらってきたし、
本当お母さんには感謝しかないの。
今この仕事をしているのも、
この大阪に来たのも、
この銘柄の煙草を吸うのも…

少しでもお母さんと繋がっていたい、
…って思うからかも(笑)

…でも《父親》はクズの最低野郎。
ほとんど家に帰って来なかったし、
たまに来たと思ったらお母さん殴って
お金奪ってどっかに消える。

………私達親子にとって悪魔だったよ。』

あんな男さえ居なければ、
お母さんはこんな仕事しなくて良かったのに。
もしかしたら、
死ななくて済んだかもしれないのに。

思い出すだけで憎しみが湧き立つ。

『ヤツのお陰で生活は苦しかったけど、
中学上がってから姿見せなくなったし、
今は記憶の中から抹消してる。

お母さん亡くなった後、唯一の親戚だった
伯母さん夫婦にお世話なってたんだけど、
火事で２人も亡くなっちゃったんだよね。

…だから今は独りぼっち。(笑)』

黙って聞いていた櫻井さんが
さっきの私の言葉を振り返る。

「…でも、さっきお兄ちゃんいるって…」

『あぁ！お兄ちゃんって言っても
腹違いなんだけどね。』と
カズの出会いから今までの話をする。

その間櫻井さんはたまに煙草を吸いながら
私の話を聞きつつも指先で唇を触って
何か違う事を考えてる様だった。

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