一生に一度の恋３ (ページ16)

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２３歳とホストとしては遅咲きではあったが、
見た目の甘い童顔と魅力的な人柄に
カズの虜となる女の子は多かった。

入店したその月に指名本数NO.1になり、
今まで隠し持っていた力を発揮する様に
瞬く間に売上NO.1になったのは
ついこの間、去年の１２月だ。

入店当初は店の共同寮に住んでいたのに
１ヶ月もせずに出て、
今は私より家賃の高くて広い
タワーマンションに住んでいる。

服装だっていつも煌びやかで
いかにも「ホスト」の風貌に
変わってしまったが、
私に対する接し方は
昔と変わらないカズのまんま。

NO.1ともなれば休みも返上して
お客さんとの営業に忙しくなってしまい、
前より会わなくなってしまったけど
ごくたまにこうやって家に来てくれたり、
店に行くとこの仕事を楽しんでやっている
カズの姿が見れるので
それはそれで良かったのかな？と
最近は思える様になれた。

この間今だから言える話やで。と
裕くんが教えてくれたが、
あの面接の時、カズを見た代表が
アイツはウチの店を背負う
逸材かもしらんな、と絶賛していたそう。

そしてカズの付き添いで隣に居た私を見て
あの子もたくさん稼いできてくれそうやし(笑)と
ニヤニヤしていたと聞いた時は
やはりこういう所での女の子達は
そういう目でしか
見てもらえないもんなんだな、と
納得なのか嫌悪感なのか
複雑な気持ちになった。

カズの件に関しては
夜の世界の先輩に認められる事は
喜ばしい事かもしれないが、
どんどんカズが遠くに行ってしまう様な
錯覚にも陥る。

でも今。

私のベッドに寄りかかり、
ゲームに夢中になっている横顔は
昔と何ら変わっていない。

「…A、熱は？」

カズの姿を見つめたまま
ぼぉーっと昔の事など色んな思い出を
思い出していたら、カズが聞いてきた。

『あ。…体温計鳴った？』

「だいぶ前に鳴ってたけど(笑)
本当大丈夫かよ…。」

呆れているのか、心配しているのか
分からないカズを尻目に
脇に挟めたまま、存在を忘れていた
体温計を取り出す。
３７.４度。

『…微熱まで下がってる！
カズ様の看病のお陰でございまする～。』

熱が下がった嬉しさに飛び起き、
三つ指を立ててカズに頭を下げる。

「ハイハイ(笑)
ちゃんとお布団入っとかないと、
また熱、ぶり返すよ。

お礼はA特製チーズinハンバーグかな～。」

『アイアイサー！』

こうやってカズとなら
お馬鹿な会話も出来ちゃう。
素の自分で居られるから。

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