ドアを隔てた天国 ページ2
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「お疲れ様でした」
楽屋に戻り、急いではだけたシャツを脱いでいく。
それを腕を組んで見つめていると零と目が合う。
「えっち」
「五月蠅い」
口答えすると、着替えていた手を止め
零が迫ってくる。近づいてくるのを避けるように
私も私で一歩、一歩と後ろへ下がる。
「怒ってるのかえ」
「違う。早く、着替えてよ」
「Aの機嫌を治す方が我輩にとって優先事項じゃ」
「はぁ？〜〜っ、別に怒ってない、し」
「嘘つけ。さっき見た時、絶対怒ってただろ」
とうとう行き止まり、つまり、
後ろは扉。誰かが開けて入ってきたら
私と貴方は週刊誌の晒され者だ。
それでも、零は近づいてくることをやめない
とうとう息がかかるくらいに迫ったところで
間近にきれいな零の瞳が見える。
「あれは、零が私情を持ち込もうとしたから」
「あぁ…、思わず我輩って言いそうになったのう」
「ほんっとに零は」
「ほかにも、あるんじゃないのか」
「だから、」
「納得できん。ちゃんと言いやがれ」
じゃないとキスするぞ
冗談でもきついことを言われ、口を閉ざしてしまう。
「嫉妬でもしたかえ」
「……」
「お〜い、聞いてんのか？」
「…」
「10数えても言わなかったら即キスだな。１、２、３」
「あ〜もう、！嫉妬したよ、キスマークとか本当にイラっときた！」
「へぇ」
「それにどこか嬉しそうにしてる零も――」
突如として、降りかかってくるキスに
目を白黒させる。零は大ウソつき野郎だ。
言わないとキスするっていうから言ったのに
結局、言ってもキスしてんじゃん。
「ん、…れ、い」
「まだだ。もっと口開けろ」
「む、り！」
「ったく、しょうがね〜な」
「ふ、はぁ…」
「首元の早くとらねばな」
楽しそうに、口端をつり上げて
首元の口紅を落とす零。
実は、朔間零と付き合ってます。
一応。
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作者名：かみうじ | 作成日時：2019年10月28日 14時
