男子校なのにモテ期がきてしまった！ ページ10
昨日から、何故だか心臓が可笑しい。
｢A、あのさ今日｣
｢ひっ！！俺に触るな、近付くな！！｣
舜の声を聞くだけで何故だか胸が締め付けられた。
舜に触れられたらそれが最後、鼓動は異様な程にバクバクと動き出す。
何だこれ、何だこれ！！
｢A？｣
｢名前を呼ぶなぁぁぁ！！｣
昨日の掠れた声が脳裏に浮かんで離れない。
昨日の力強い腕の感覚がまだ体に残ってる。
目を合わせただけでおかしくなりそうだ、思わず逃げ出してしまった。
その途中で、とっても笑顔な十神が俺に手を振り走りよってきた
｢AA！！今日さ、舜と一緒にカラオケ行くんだけど、どうだ！？｣
｢あ？俺はいい、歌とか歌えねぇし｣
見てのまんま、十神はワクワクした表情で俺に話し掛けた。
カラオケとは歌を歌う場所だと聞いた事がある、俺には無理だ。
｢何で！！いいじゃん！聞くだけ聞くだけ！！｣
｢行ったこと、ないし…またあんな事になれば｣
｢大丈夫、セキュリティばっちりだから！｣
信用できねぇ！！！
SPはいるのか！？警備はちゃんとしてるのか！？
兎に角舜と密室で過ごすって事だろ！？
｢無理｣
｢ええ〜…駄目？｣
出た！！お得意のワンコ戦法！！
俺は前この目に騙されたわけだ、だが！
今回はそうはいかない！！
｢そう何度も引っ掛かるかよ、行くわけな｣
｢A、やっと見つけた｣
お得意顔で断ろうと思いきや、肩に置かれる手と耳元で囁くように話す舜の声、ドキンと心臓が跳ねた。
それと共に思いもしない大声が俺の口から漏れだした。
｢ぎゃああああ！！寄るな！！話すな！！近付くな！！｣
バッと舜から距離を置き、震える足で逃げようかと思いきや、肩に置く手は力強く舜はその手を離そうとはしなかった。
むしろ、凄く怒った顔で…肩が割れそうなほど力を入れている…
｢あ、あの…｣
｢お前は黙ってろ忍｣
｢ひゃ、ひゃい！｣
十神の弱々しい声が聞こえた。
ズバッと一刀両断された十神の顔は僅かに涙を浮かばせている。
か、可哀想…
｢A、ちょっと来て｣
そんな十神を気にもとめず舜は俺の手を取り歩き出した。
｢え、ちょっと、ごめん十神！！また後｣
｢俺とは話さないくせに、忍とは話すんだね｣
｢え？｣
舜の声が震えていた、低い声でいつもと違う。
また、怒ってる？
いや、それも違う
連れてこられた先は空き教室、あの日の風景が思い出される場所。
舜は乱暴に俺の手を離し、床へと体を押し倒した。
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作者名：yuno | 作成日時：2018年12月31日 11時
