男子校なのにモテ期がきてしまった！ ページ11
泣いているように見えた。
あまりにも、俺の手首を掴む手が震えていたから。
｢舜…？｣
もしかすると、無意識の内に傷付けていたのかもしれない。
舜は俺を好きだと言った、好きな相手から避けられる、そんなの悲しいに決まってるじゃないか…
でも
かなりヤバぞこの状況、今、顔を背けてるからなんとかもってるけど、舜の目を見てしまえば気絶してしまうかもしれない、どうしよう
うーんうーんと悩みながら眉を寄せている俺に舜は不安を露わにする。
｢A…何で？俺何かしちゃったかな？顔も合わせてくれないし、謝るから避けないで…｣
それはあまりにも弱々しい声で、胸が締め付けられるように苦しくなった。
正直な事を言ってしまいたい、でも
引かれるかもしれない。
舜の事だ、引きはしないだろうが、もしも引かれたりしたらこの関係は崩れてしまう。
それは、嫌だ。
頭の中で考えて数秒、全く答えが出なくて口を開けないでいると、舜はゆらりと俺に顔を近づけた。
そして、唐突に降ってくるキスの雨。
舜は俺を離すまいと、何度も何度も唇を重ねた。
｢おいっ…待て、んむっ｣
｢教えてくれるまで辞めないよ｣
待ってくれ、待ってくれ！！
この状況は非常にまずい！
俺の顔は徐々に赤みを帯びていく、目には涙が溜まり口端には僅かな雫
頭がクラクラとしだした、これは…
｢やっ…ば…｣
｢…A？、A！？｣
情けない事に、男とのキスで失神してしまった。
ただ失神するだけでも恥だと言うのに俺と来たら…
鼻血を出すなんて！！！なんて事だ！！
これは引かれた！確実に！！！
｢んっ、んぁ…？｣
｢A！！A！！！｣
目に光が入った途端、体に伸し掛る衝撃と大声。
目の前には十神が居た。
｢あれ、俺…｣
｢A、一体舜と何してたんだよ！！鼻血出したお前を舜がお姫様だっこで｣
｢思い出させないでくれ！！一生の恥だ！！｣
大声で俺の失態を言うんじゃない！！
頭を抱え頭を垂れる俺に、十神は一言言った。
｢舜と何かあった？｣
いつもの大声じゃなく、普通のボリューム
いつもの笑顔じゃなく、真剣な表情
ドキッと胸が高鳴った。
何で！？十神だぞ！あの！十神！だぞ！！！
何で！？可笑しいよ俺！！
自分の心がよく分からないという状況に陥りながらも、俺は十神に言う。
｢舜と話すとドキッとするんだ、触られると熱くなる、何なんだこれ｣
ポカンと口を開ける十神、2度目だなその顔。
｢…Aは舜が好きなの？｣
｢は！？｣
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作者名：yuno | 作成日時：2018年12月31日 11時
