男子校なのにモテ期がきてしまった！ ページ6
｢お邪魔、します｣
目の前にある一軒家、それはごく普通だった。
門なんてものは無いし、その場に執事がいる訳でもなく、でも何処か安心する。
俺は特に重たくもない扉を開く。
｢きゃー！！A君よね！？A君！！｣
｢えっ｣
途端に耳に響く悲鳴と、体に伸し掛る衝撃。
な、なな何で美女が俺に抱き着いているんだ！？
俺の体は放心状態のまま、その美女にされるがままだった。
｢あ！ごめんなさいね、舜の母ですって覚えてるわよね、勿論｣
黒い笑みだ！！とてつもなく威圧されている！！
舜の母はその顔に見合わずドSなようで、俺の首筋を指でなぞりながら黒い笑みを浮かべた。
｢ひっ…｣
見合わない表情と圧倒的な雰囲気に俺は完全に萎縮していた。
そんな所に舜はやって来て
｢母さん、俺の部屋連れてくからもう解放してあげて｣
俺の手を引いて自分の胸に抱き寄せたのだ。
何故抱き寄せる必要がある！！！
｢あらあらあら、仲が良くて可愛いわねぇ〜！｣
当のお母さんは体をくねくねさせながら俺と舜のやり取りを見てる。
正直引いた、いや、引いた。
俺は顔を引き摺らせながら、美女にお辞儀をし、舜の部屋へと向かった。
って汚ぇなおい！！
扉を開くとすぐそこには服服服、服の山
部屋中に散らかったゴミと服と、何か分からない何か。
｢うっわ、掃除くらいしろよ…｣
｢どうも面倒臭くてさ｣
爽やかに笑ってる場合じゃねぇぞお前
汚すぎて住めたもんじゃねぇ。
衣類から何から、避けながら舜の部屋へ入る、その途中、どんな理由かは知らない足元を見ていなかったのだろうか。
ツルッと体のバランスが後ろへ持っていかれる感覚がした。
気づいた舜は慌てて手を掴むが時既に遅し、共に倒れた。
｢ってぇ…汚ねんだよお前の、へ…ゃ｣
｢ごめんね、大丈夫？｣
おいおいおいおいおい、何だこれ、何だ
何で舜が俺の上に居る？下から見てもイケメンだな…、じゃなくて！！
待ってくれこれは危機的状況じゃないのか、仮にもキスされた相手、何されるか分からない！！
｢大丈夫だ、退け｣
咄嗟に舜の肩を押してはみるものの案の定動きはしない。
それ所か何故か近付いてくる
何で！？
｢Aの焦ってる表情好きだよ｣
｢知らねぇよ、つーか焦って…おいおいおい何だこれは！！｣
いつも通りのニコニコ笑顔のまま俺の手を拘束した。
手首に触れてる舜の手は暖かい、が舜の顔は全く暖かくないむしろ冷めた目で見てる。
｢な、なん、だよ…｣
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作者名：yuno | 作成日時：2018年12月31日 11時
