48:素直でよろしい ページ47
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俺が「ありがとう」と呟いて頭を撫でると
Aは不思議そうな顔をした。
「……どうした?」
「いら、そらるが素直なのは、珍しいなって。」
「そうかな」
「……ほんと、急に褒めないでよ。そらるこそ変なものでも食べたの?」
そう言って俺をからかってくるAだったけど、その表情はどこか嬉しそうで
頬なんか完全に緩んでいた。
「私からも、いい?大事な話。」
「なんだよ。」
「そらる。やっぱり私、そらると同じ学校に受けるね。」
ダメって言ったのに。
そう思ってAを見ると真剣な眼差しでこちらを見つめていた。
……あー。
こいつ、もう決めたんだな。
俺が何を言っても、ダメ。
きっと今のお前は、その話を聞くどころかもっと闘争心を燃やすだろう。
「受けるからには、絶対に合格しろよ。」
俺がそう言うと、Aは嬉しそうに目を細めた。
「うんっ!」
「だけど大学では絶対にスカート履くなよ」
スカート履いたヤツら、ボコボコにしちゃいそうだし。
俺はまだ、この時生まれた感情に名前をつけることが出来なかった。
が、後に気付くことになる。
─────
──────────
しばらく話してい歩いていると、
Aの家が見えてきた。
隣が俺の実家だから、家族のことを思い出す。
でも、俺がバイトをやめて音楽をするって知ったら……きっとあの人は怒るどころか、倒れてしまう。
だからこれはまだ、Aとの秘密。
「そらる、たまには遊びにおいでよ。」
「おう」
───── 嗚呼、こんなに楽しい時にこんなこと考えるのはよそう。
そう思いながら、
俺は実家の横を通り過ぎようとした。
『そらるくん』
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ぽにょ - 間違いだったらごめんなさい。このお話って「サムマイウェイ」のパクリではないでしょうか? (2022年9月4日 19時) (レス) @page28 id: b0029b04cd (このIDを非表示/違反報告)
花蘭(プロフ) - どうして後半だけパスワードがかかっているのでしょうか…? (2020年8月15日 10時) (レス) id: 7a9bcca966 (このIDを非表示/違反報告)
まぬん(プロフ) - 完成したはずの後編を見たいんですけどパスワードがかかっていて見れません…よければパスワードを教えてて頂きたいです! (2020年5月14日 8時) (レス) id: d24847e3a9 (このIDを非表示/違反報告)
杏子 - お話の続きを読ませていただきたいのですが、パスワードを教えて頂くとこは可能でしょうか…?? (2020年3月27日 9時) (レス) id: eab2b547de (このIDを非表示/違反報告)
杏子 - 初コメ失礼します。 (2020年3月27日 9時) (レス) id: eab2b547de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆんた | 作成日時:2018年6月17日 21時