14話…一歩 ページ16
コンコン
ビクッ
『はぁーーーーーーーー…!びっくりした!』
風華「申し訳ございません、お嬢様。お見合い用のお着替えをお持ちしました。」
『ど、どうぞ…』
失礼します。という声に合わせてドアがゆっくりと開いた。
ぺこりと少し頭を下げ丁寧に言ってくる。
風華「こちらがお着替えです。すぐにお着替えください。」
私に服を渡した。
『ありがとう。風華。』
なんか悲しくなってきたな。
下を向いていると
風華「お嬢様。ヘアメイクをしますので早くお着替えを。」
と言いながら部屋を出ていった。
『はーい。』
服はとても綺麗だ。
全体的にファーで飾られていた。肩出しの白いトップスに、白いファーのスカート、それに、ふわふわのイヤリング。金色のネックレス。
『綺麗だな。私が霞むくらい…』
ポツリと独り言を言い、着替え始めた。
着替え終わり、廊下に出た。
『風華。』
風華「はい。」
いつも通りドレッサーの前に座った。
風華は私の髪をときながらポツリと話し始めた。
風華「…お嬢様、お嬢様が恋をしている男の子はもういいんですか。」
『ん、え、あ。…うん。だって、さ。むりじゃん。気づくのが遅すぎた。もうおそかった。後悔すら遅かったんだよ。私。』
風華「…」
少しの間、沈黙が流れた。
風華「大丈夫、だよ。A。Aはきっとお見合いの相手の事、愛せれるよ。その人も、きっと、愛してくれるよ。」
『風華…』
鏡が見えなくなってきた。なんで?
風華「A。がんばれ。応援してるよ。」
『風華……。』
手に水滴が落ちてきた。ポロポロと次々と落ちてくる。
ーーあ、わたし、泣いてるんだ。
やっとわかった。
後ろから風華がそっと抱きしめてくれた。
『風華…。あり…が…とう。がん…ばる…ね。』
泣いちゃだめ。これからメイクするのに。
私は泣いていたが、その間に風華は私の髪をまとめてくれた。
てっぺんで大きなお団子ヘアにしてくれた。
風華「はい、もう泣き止んで。メイクするよ。」
『う…うん。』
そしてメイクも済まして朝食も食べてから玄関に向かった。
『ふぅ…。よし。頑張ろう。』
風華「頑張って。A。応援してるね。」
風華は私の背中を押した。
『ありがとう、風華。』
そして私は一歩踏み出した。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこ | 作成日時:2018年10月18日 22時