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大きな貸しを作ってしまった気がする。
借りを返す時には、どうせこき使われるんだろうなぁ、としみじみ思いながら高専内の廊下を歩いていると
『おはよう』
「おはよう、A」
朝日の如く爽やかに現れた夏油。
今日も笑顔が眩しい。ここ最近の癒しは夏油の笑顔といっても過言ではないだろう。
「…それって悟の?」
彼の視線が私の首下に向けられる。
『ああ、そうなの。さっきランニングしてたらなんでか分からないけど無理矢理これ着せられちゃって…』
おかげで、風邪は引くことないだろうけど。
「……へぇ、そうなんだ」
『うん…』
そう冷たく吐かれた声に少し驚く。
笑っているのに、怒っているような。
「なんだか妬けちゃうな」
そう話す夏油の声がやけに暗くて、低くて。
なんて返せばいいのか分からなかった。
「愛されてるね、Aは───」
『えっ…?』
どういう意味なのか。
皮肉?嫉妬?それとも称賛?
どちらでも捉えられる彼の言葉に混乱してしまう。
「ごめんね、困らせたいわけじゃなかったんだ」
『…ちょっとやめてよ、本気にしちゃったじゃんか』
「あはは、すまない」
夏油は眉尻を下げていつもみたいに笑っていた。
私の心配しすぎだったのかな。
「じゃあ、私はそろそろ行くよ。また」
『うん、また』
でも、何故だろう。
彼の笑顔はいつもと変わらないはずなのに、
その笑顔が少しだけ怖いと思ってしまった。
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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時