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その日は、理科の授業で彼とペアになった。学校に生えている好きな植物を決めて調べるらしい。


はっきり言うと、めんどくさい。


でも彼はどこか嬉しそうで、やっぱり反対のタイプの人間だな、と改めて実感する。



私は特に考えずにそこら辺の紫の花に決めた。なんだか丸くて可愛いし。


そう伝えると、


「それはね、アリウムって言うんだ。確かに丸くて可愛いよね。」

と彼がにこにこしながら言うものだから、こっちまで嬉しくなって笑い返した。






『▒▒▒くんは何にしたの?』

そう言うと彼は少し考えたあと、


「ベゴニア。家で育ててるんだ。葉がハートで可愛いでしょ?」

と、ピンクの花を見せながら言った。意外にかわいい。花好きなのかな。



「でも間違えてたくさん買っちゃってさ。家にいっぱい余ってるんだ。まだ蕾だけどプレゼントしていいかな?育てるの、楽しいよ。」

彼は微笑みながらそう言う。


一瞬躊躇ったが、彼を悲しませたくなくて


『じゃあ貰っちゃおうかなー?もう今から咲くの楽しみになっちゃった。』

と思わず言ってしまう。

「ほんと??じゃあとびきり可愛いの持っていくね!」


彼は私以上に楽しそうに、そう言った。


彼と話していると、いつも急だ。


楽しいからいいか。とまた考えるのをやめて、彼の話に耳を傾けた。










しばらくすると、家の前にピンク色の可愛い植木鉢が置いてあった。


彼からだろう。可愛い小さな蕾が咲いている。


お礼言わなければと思い、写真を撮ってメールで彼に送ると、咲かなかったりしたらいつでも言ってね、と返ってきた


彼はメールでも優しい。


返事を考えなければ、と頭を回転させる。メールは苦手だ。












こちらこそありがとう?


ありきたり。




▒▒▒君が花好きなんて知らなかった?


傷つくかも。




そのときはよろしく?


迷惑じゃない?




別に頼んでない?


失礼だな。



めっちゃかわいい!!


いつもの私じゃない。



















この花が、咲かなければ、私とずっと仲良くしてくれる?


無意識に、そう文字だけ打って、慌ててすぐ消す。












結局、私はまた何も返さずに会話は終わってしまった。


やっぱりメールは苦手だ。諦めて布団に入った。

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作者名:花音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yuna23567922  
作成日時:2024年1月6日 18時

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