【あんスタ】ただの用務員ですが。なにか？ (ページ16)

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65.愉快ページ16

『･･･やっちまった』

数秒前、バサリと落としてしまった大量の書類を呆然と見つめながらそんな言葉がポロッと零れた。

ダメだ、あれから疫病神が取り憑いたのかって言いたいほどに失敗ばっか。俺そろそろ挫けそう。

「じーむいーんさーん！」

『うおっ！？ひ、ひなたくんビックリしたぁ』

「事務員さん、声掛けても全っ然！気付いてくれないんだもん！！」

『え、マジか･･･悪いな』

「しっかりしてよねぇ！」

なんて言いつつ、俺が散らかした書類を拾ってくれるひなたくんに感謝しか出ない。

あぁもう、ホント申し訳ねぇな。しっかりしろよ、俺。

「アニキ～？
げっ、なに用務員さんに迷惑掛けてるの！？」

「えぇ～？俺手伝ってるんだけど～？」

『ゆうたくん誤解だから、落ち着いて。これは俺が落としたんだよ、ひなたくんは拾うの手伝ってくれてんの』

「あぁ、そうだったんですか！誤解してすみません！」

「ゆうたくんってば酷いなぁ！」

「アニキの日頃の行いのせいだよ」

そんな会話が目の前で繰り広げている2人に、自然と頬が釣り上がる。

双子なのに性格は何ていうか、結構違うんだよなぁ。愉快だから見てて楽しい。

『ホント、お前ら面白いなぁ』

「ボーッとしてて壁に頭ぶつけて、持ってた書類散らかした事務員さんも面白かったですよ！」

『おまっ、そこから見てたのかよ』

「あっはは！気付かなかったんですかぁ？」

『残念ながらな！！』

かぁっと頬に熱が帯びるのを感じて、拾った書類で顔を隠す。

うわぁ恥ずかしすぎるだろ！！さすがに見てる人はいないと思ってた！俺の馬鹿野郎！！

「まぁ元気出してくださいよ！そうだ、俺たちのバイト先にでも来てくださいよ！」

『バイト？』

「喫茶店でやってるんです！」

「ご飯も凄い美味しいんですよ！」

『おっ、じゃあ行こうかな』

「やった客寄せパンダ！」

『誰がだ！』

てへっと舌を出して笑う葵双子に呆れつつも、誘ってくれたのが少し嬉しかったのは秘密だ。