【マギ】女官長さんの休日

コーヒーにはミルク！ ページ4

『ジャーファルー。コーヒー豆くれない？』

「自分で買いに行ってください」

『つれないわねぇ。私は今飲みたいのよ！……あ、私いい事思いついちゃった』

「……なに」

『ここでコーヒー飲めば良いのよ！』

「帰れ」

ーーーーーーーーーー


私の勝ちよ、ジャーファル！数分粘ったらすぐに折れた。そんな事なら最初からいいって言えば良いのに。ほんと馬鹿ねぇ。

『あ、馬鹿だったわ』

「なんか言った？」

『なにも言ってないわよ、言ってない』

ポツリと漏れた呟きも、地獄耳をお持ちのジャーファルには聞こえるみたい。ああ、恐ろしい。

呆れ顔の彼は「何なんだよ一体」とか言いながらコーヒーをカップに注いでいる。コポコポという音が耳に心地よい。

そしてカチャと音がしたと思えば、目の前にはコーヒーカップ。……いつの間に。

『ありがと……なんか少なくない？』

置かれたコーヒーカップには、黒い液体が半分程。
普通は8割とか入れない？なにこれ新手の嫌がらせかしら。
ムッと口をへの字に曲げたまま、ジャーファルを睨む。すると当の本人も睨み返してきて、こう言った。

「あんたこれ、入れるんでしょう」

『え？入れるわよ……あぁ、なる程』

ジャーファルの手にはミルク。最近私がコーヒーにミルク派だと知った彼は、気を利かせてくれているんだろう。コーヒーが少ないのも、ミルクを入れてコップから溢れないようにする為ね。

『……なんか気持ち悪い』

「あ？気を利かせてやったのにそれはないんじゃないですか？もういい、没収します」

『ウソウソゴメン！とっても嬉しいわよ、ジャーファル！』

「あ、そ。じゃあとっとと飲んで仕事に行け。いつまでも政務室に入り浸らないで」

『入り浸ってないし。偶然通りかかったからコーヒー豆貰おうとしただけだし』

言い合いをしながらコーヒーにミルクを注ぐ。ちょうどカップ八分目になったところで注ぐのをやめ、クルクルと混ぜる。
近くでジャーファルが引いていることなんて知らずに。

「あんたそんなにミルク入れるの……？」

『え？多いかしら』

「それ半分近くミルクじゃないですか。そんなのコーヒーって言わないですよ、ホットミルクって言うんですよ」

『失礼ね、ちゃんとコーヒーの味もするわよ！』

そう言いながら、コーヒーをコクッと飲んだ。ミルク入れたら美味しいのに。人生損してるとは言わないでおこう。後々が怖いし。

『美味しーい』

「うわぁ……」

『いちいち煩い！』

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