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ガラガラガラ
貴「お邪魔しますよ〜、大将」
相変わらず立て付けの悪い引き戸を開けて
大将に挨拶をして店内に進む。
ここに誘い出した銀さんは既に1杯やっているらしく、カウンターでチビチビと日本酒を啜っている。
貴「ちゃーんと来ましたよ?銀さん。」
銀「おー...」
こちらを見た銀さんが固まる。
銀「誰?」
貴「いや、失礼過ぎません!?私ですよ?Aですよ!?」
銀「いや、変わりすぎだろ。」
貴「そりゃあ髪切りましたし!」
そこまで変わった気はしないんだけどなあ。
銀「そらァ見りゃわかるわ。」
そう言いながら隣の椅子を引いて
ばんばんと叩いて招かれる。
貴「わからなかったらどうしようかと...
あ、お隣失礼しますね。」
銀「おう。何飲む?」
貴「あー、大将ー、生中!」
銀「馬鹿だろお前。」
いや、馬鹿ってなんやねん。
弱いやつは飲むなって?
勘弁してよ、
貴「何のためにここに来たと思ってるんですか?そんなの1杯やるためでしょ。それに、1杯なら大丈夫ですからね?」
銀「いや、
貴「いや、あれは一口と見せかけて結構飲んでましたよ?1杯ちょっとくらい。」
まあ、仕方ないよね。
一口飲んでやられちゃうんだもん、呂律と顔が。
銀「俺は知らねーからなー、今日は。」
貴「わかってますよ。」
はいお待ち、と運ばれてきたビールを1口ごくりと飲んで、今日はいつもよりは強い日だなー、なんておもいながらお酒の宛を探していると
銀「いやー、思い切ったイメチェンだな。」
何故か終わったと思っていた話題を掘り起こしてきたよ。
貴「銀さんの言葉を信じただけですからね?というか、そんなに変ですか?」
銀「いや、ンなこたあ言ってねぇよ。」
貴「あー、言ってないだけで思ってる奴ですね!思ってるなら言ってください!」
結局、肩につくくらいのボブにしたんだよ。
肩につく長さにしたのは、似合わなかった時の保証。縛れば問題無いからね。
だからこそ、おかしいならおかしいと言ってもらわないと困るのだ。
貴「さあ、本当に言ってください!」
銀「だーかーらー、変なんて誰も言ってねーだろーがよ。むしろ逆だ、逆。思ってた以上に似合ってた」
最後の方になるにつれ声が小さくなっていって、それを疑問に思って銀さんを見れば、その顔が少しだけ赤くなっている気がした。
お酒のせいかな。
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作者名:みや | 作者ホームページ:https://twitter.com/miyadao_orz?s=06
作成日時:2017年3月29日 15時