冥界の主と少年。 (ページ41)

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写真。ページ41

いや…そんなまさか。

この小説がギャグ故、今までさんざん不憫な目にあってきたがこればかりは悲し過ぎる。

なんで、

なんで冥界の主であるこの私が、

ちゃんと写ってる写真が一枚もないんだ!!!

アルバムを持ったまま石化した私を見て、少年が横からのぞき込む。

「あぁ…冥界さんがちゃんと写ってる写真がないんですね」

冷静にそう言われて心に新たな矢が刺さる。
もうやめてくれ…
それ以上なんか言ったら冥界さん、砂になって崩れ落ちるよ。

「いや…でもほら、これとか冥界さん、写ってますよ」

流石に少年でも私を不憫に思えてきたのか、珍しくフォローしてきた。

「写ってるつったって切れ端だけじゃねぇえか!!」

思わずアルバムを床に叩きつける。

写すなら顔を写せよ顔を!!
カメラマンの頭どうなってんだよ!!
写真撮ったの誰だよ!!地獄に落としてやる…っ!!

「あ、これは顔写ってますよ」

「あぁ!?」

少年が拾い上げた写真をサッと奪い取る。

そこには鈴芽の背後に立って般若のような顔をした私が写っていた。

「おや……」

肩がプルプルと震え、手にした写真にポタポタと水滴が落ちた。

少年はそれ以上何も言ってこなかった。

そして私は決意した。

もう絶対に写真なんか撮らない、と。

�・冥界の主観察日記�・

･冥界さんは意外と目立ちたがり屋

「あれ？冥界さんは？」

「これはこれは鈴芽さん…冥界さんは今日一日中引こもるそうです」

「えー…アルバム見てたら冥界さんの写真がなかったから撮ってあげようと思ったのに…」

「そうだったんですか…」

「まぁいいや、また今度で」

「はい… ………」

･冥界さんはつくづく運が悪い。