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アルバム。 ページ40

「だぁぁっ…疲れた…」

持っている段ボールを地面に下ろして、近くにあったソファーに深く腰掛ける。
キリキリと痛む腰を擦ってため息をつく。

周りに積み上げられた段ボールを眺めながら、今朝のことを思い出す。

普段通りお昼頃まで寝ようと思っていたら、少年にたたき起こされ、

「年末の大掃除です」

と言ってはたきと布巾を渡された。

大掃除と言っても、さっきから本棚や戸棚の中のものを出してばっかりで、散らかる一方なんだけど。

「おや、冥界さん何休んでるんですか」

噂をすれば三角巾をつけた少年がひょっこりと現れた。

「こっちは朝からずっと力仕事してばっかりなんだよ 休ませろよ…」

「そうですね、ちょっと休憩にしましょうか」

少年は壁にかかった時計を見て呟く。

「そう言えば、面白いもの見つけたんですよ」

そう言って少年は一冊のアルバムを持ち上げて見せた。

「…アルバム?」

「奥の部屋で見つけました」

そのアルバムは「見つけた」という割にはまだ新しく、表紙も綺麗だった。

「お前アルバムなんて作ってたの?」

「いえ…」

ん?なんかそれ、おかしくないか?
私も少年も知らないなら一体誰が…

私の思考が追いつくより先に少年はアルバムを開いた。

そこには 夏に行った海や鈴芽の店、卵をまとめ買いしている少年やミロを飲んでいる兄貴など、みんなの写真が乗っていた。

「懐かしいですね」

「そうだな」

作者不明と言うことも忘れてアルバムに見入る。

過去を振り返ることなんてめんどくさかったが、たまには面白いかもしれない。

そう思ったのもつかの間。

私は少年の手からアルバムを奪い取って、食入るように見た。

「ちょっ…どうしたんですか…」

「ない…」

「え?」

アルバムを持つ手がプルプルと震える。

私は重大なことに気づいてしまった。

私は…

私が…

「私がちゃんと写ってる写真が一枚もない!!」

写真。→←今更だけど。



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設定タグ:オリジナル小説 , ギャグ   
作品ジャンル:ギャグ, オリジナル作品
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黒猫柚月(プロフ) - 少年君、面白いです! (2016年5月26日 21時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜アルペジオ(プロフ) - たのしみにしてます!! (2016年2月26日 17時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
白桜 - とても面白いです!いつも読ませてもらってます。 (2016年2月11日 20時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - おもしろかったです!よかったら私の作品 見てください (2016年2月10日 15時) (レス) id: d722fb9a07 (このIDを非表示/違反報告)
sayaka(プロフ) - ヘモグロビンさん» いえいえ。ありがとうございます。 (2015年12月25日 20時) (レス) id: a1946caf5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:でんでんむしの奇行種 x他2人 | 作成日時:2015年3月7日 20時

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