義兄は私を嫌っている。part3

第5話。 ページ43

ピンポーン…ピンポーン…

「…んだよ、うっせぇな」

必要以上に大きいそのチャイム音。

ここに来るってことは父さんだな。

俺は渡辺さんが起きないように慎重にベッドを降りる。

っち、まだ6時前じゃねぇか。

全く寝れてない俺は最高潮に機嫌が悪い。

そろそろ食材減ってきたしまぁ助かるが。




バシッ

「あんた、何してんのよ！？」

扉を開けた瞬間ジンジンと痛む頬。

げ、最悪…

「1週間も学校休んでどういうつもりなの！？」

紛れもなくそこに立ってカンカンに怒ってるのは母さん。

親父の野郎、ここの場所吐きやがったな。

「彼女はどこにいるの！？会わせなさい！」

母さんはそういうと家に上がり込もうとした。

「まだ寝てんだよ！とりあえず外で話そう」

今彼女と母さんを会わせるわけには行かない。

会ったらきっと彼女はまた家に帰ろうとするだろう。

そう思い、俺は無理やり母さんの背中を押して外に出た。





「学校はどうするの？彼女さんの両親はなんて言ってるの？」

「母さんには関係ねぇだろ」

バシッ

はい、2度目のビンタ。

「ふざけないで！どれだけ心配したと思ってるの！？」

これは相当お怒りだ。

しかも泣き始めたし。

くそめんどくせぇ。

「とりあえず帰るわよ」

母さんはそういうと俺の手を強く引いた。

「無理だって言ってるだろ」

「彼女さん？その子のせいなのね？許せない」

「なんでそうなんだよ！？俺の我儘でここに連れてきたんだ！」

「何言ってるの！？とりあえず会わせなさい！話はそれからよ！」

うるせぇんだよ。

何も知らねぇだろうがテメェは。

ピンポーン…ピンポーン

「出てきなさい！」

俺が手を握って怒りを押し殺してる間に母さんは家のチャイムを何度も鳴らした。

「やめろって言ってんだろうがクソババア！！」

ドサッ
　
「痛いじゃないの！！何するのよ！」

気づけば俺は怒りのままに母さんを押し飛ばしてしまった。

「あ、わり…」

頭が真っ白になる。

「なんでこうなってしまったの？全部あの子のせいなのね？そうなんでしょ…ねぇ…」

そうやって俺にしがみつく母。

違う…

彼女のせいじゃない。

「いい加減にしろよ！」

「まちなさい。」

自分から母を引き剥がそうとした時、車から父さんが降りてきた。

なんだよ今更。

お前が母さんに居場所チクッたからだろ。

「とりあえず母さんと俺に素敵な彼女さんを紹介してくれないか？」

そういうと父は不貞腐れる俺の肩を優しく叩いた。

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