義兄は私を嫌っている。part3

第4話。 ページ36

ガタンガタン…

「……」

「……」

何も話すことなく電車の音だけが静かに響く。

どこにいくんだろう…

聞きたいけどやっぱり聞けない。

不安に思ってることを彼に知られたくない。

だって彼の意思を疑いたくないから。




「お兄さん何も言わなかったな」

彼がそう口を開いたのは電車を降りて改札に向かう途中だった。

彼は「少し以外だったかも」と眉を下げて笑った。

その笑顔が無理してるなんてすぐにわかった。

きっと怖かったんだろうな。

私と同じくらい…

それともそれ以上かな？

「…そうだね」

私は彼に合わせて必死で笑顔を作る。

「手…離そうか」

彼はそういうと切符を私に渡した。

「…ありがとう」

私が握っている方の手で切符を受け取ろうとすると、

「…やっぱだめ。絶対離さねぇ」

そう言って離しかけた手を強く握った。

「絶対不安にさせないから」

その言葉に涙が溢れた。

田ノ浦くんはきっとわかってたんだ。

「だから泣くなって」

「…ごめん」

でも止まらないんだもん。

ごめん、ごめん…

不安になってごめん。

貴方の方がきっともっと不安なのに。



「とりあえず改札出よう」

田ノ浦くんはそういうと私の手を優しく引いた。

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