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そしてこちらは交渉班の、不動、黒江、東雲。不動は交渉に向いているという理由で即決。東雲は可愛いから何とかなるという理由で決まり、最終手段の武力交渉という物騒な理由で決まった黒江。交渉班の目的は瀬川に会って話を聞くこと。だが、警察車両が停まっている場所は殺人事件がこの旅館で発生したということで慌ただしく見えたが、他にも何か理由があるように見えた。だが、こちらの目的は瀬川に会って話を聞くこと。なので、瀬川に会わせてくれないかと頼むことにした。
「探偵社の者だ。今回の事件の容疑者、瀬川千歳に会って話を聞きたいのですが、彼は何処に?」
「あ、えと、彼は……、あの……」
あからさまに言葉を濁す警官。不動は不審に思った。何か後ろめたいことでもあるのだろうか。会わせられないのならばそう言えばいいものを何故隠す。
そう思った不動の後ろで黒江が口角を不気味に上げて前に出てきた。
「ヘェ〜? 何か隠してンのかい?」
「いえ、そのようなことは……」
何故お前がでしゃばる。ああ、胃が、頭が……。と不動が腹痛&胃痛に悩まされ始めたとは露知らず、というか興味が無いように黒江は、ンフフ、と笑みを深める。
「後ろめたいことでもあンのかい? え〜?」
「う″……」
肘で脇腹をどつかれている。痛いだろうに。こうなるともうこの警官に同情してしまう。
警官の迷惑そうな顔を見て不動の胃がキリキリと悲鳴をあげる。
「嘘を吐くのは駄目なのです!」
東雲! お前まで便乗する必要はない! 寧ろ便乗するな! いや、きっと純粋に言っているのだろうが!
不動のサイレントツッコミだけが虚しく脳内に響く。頭がガンガン煩い。ただ、不幸中の幸いと言うべきことは一つ。ここに美影がいなくてよかったということだ。美影がいたらこの倍くらいひどいことになっているだろう。このまま状況が悪い方向に行かなければいいが。
不動が不安を募らせていると、警官が観念したように、わかりましたよ、と言った。哀れ、警官。
「実はですね、容疑者が姿を消したのですよ」
目の前の警官がそう言うと、何て言った、と言い方は違えど三人が同じような反応をした。瀬川が姿を消した。そのままの意味で間違いないのだろうが、何故姿を消した? 疑問は募るばかりだ。
「何故姿を消した?」
「わかりません。ですが、姿を消す直前に三人の警官と一緒にいたようですが」
「その三人の写真は?」
「無いのです。その三人は……」
その三人はーー警官ではないようです。
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ラハル - アノさん» ありがとうございます!他の作者様の素敵な文に負けがちですが精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いします!! (2017年3月5日 22時) (レス) id: a67c8f74a0 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - アノさん» お褒めに頂き光栄です(*´∀`) 更新遅れてますが頑張りますね(^o^ゞ (2017年2月24日 20時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
アノ - 凄く楽しく見せてもらっています!凄くこの作品好きなので更新頑張って下さい!応援しています! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 09388b2c82 (このIDを非表示/違反報告)
ラ八ル(プロフ) - 花園イリアさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!これからも頑張るので宜しくお願いします!! (2016年11月25日 22時) (レス) id: dcc66ec7ef (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» 有難う御座います! ご期待に添えるように頑張りますね(*´ω`*) (2016年11月22日 9時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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