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「う〜ん……」
「どうかしたんですか美影さん。考えているなんてらしくないですよ?」
「いつも考えていないみたいな言い方やめてくれるかな?」
何か最近ひどいよねぇ、と口先を尖らせて美影は言う。けれど、すぐに真剣な顔つきになりまた、う〜ん、と唸る。
美影と廣瀬と楔埜の三人は推理班になった。美影と楔埜はわかる。だが、何故僕まで推理班なんだ。解せぬ。どうした文句を心の中でタラタラと言う。割り振りをしたのは不動だ。断ることはできない。それに瀬川を助けたい。まあ、従おう。となった結果がこれだ。解せぬ(二回目)。
廣瀬が文句を心の中でたれている間に、美影はもう、う〜んと唸っていなかった。それに加え、いつもの真意の見えない顔に戻っていたのだ。この短時間に何があった、と廣瀬は訊きたくなった。
「ちょっと今回は時間を費やしている暇はないな」
美影がボソッと聞こえるか、聞こえないかくらいの声で呟いた。
「え、それってどういう……?」
「いや、こっちの話だよ」
「だいじょうぶ。すぐに解決するよ」
楔埜はそう言うが、廣瀬は頭に疑問符を浮かべた。美影は何を考えているのかわからない。考えていないようで実は考えていたりすると不動から聞いた。なら最初から考えればいいのに。
待機班と待っている推理班は現場や監視カメラからもたらされる情報が来るまで部屋でとりあえずくつろぐことにした。
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一方こちらは現場班。犯罪現場の証拠をスマホで撮影して推理班に持って帰るという仕事内容だが、山吹はソファでゴロゴロしている。
「おいお前さん、ちゃんと仕事してるかい?」
「あははー、いやだなー、ちゃんとしてますよー。俺がソファでゴロゴロしてるように見えますかー?」
「「見える」」
山吹は、いやだなー、ちゃんとしてるじゃないですかー、とソファでゴロゴロする。勿論、床の写真を撮るでもなく、天井でもソファでもない。ゴロゴロとソファの上で体制を変えて気がついた。少しだけ、何かを引きずった跡がある。見つけたのでしっかり写真を撮っておいた。よし、仕事終わり。
「ちょっと来てくれるか」
「はいはーい」
「あ、はい」
長船に呼ばれて山吹と公由はお風呂場に行った。そこにあったのはガムテープをベタベタ貼った痕跡があったのだ。
「旅館のごみ箱に捨てたんならありそうですねー」
「……あの、探すんですか?」
山吹と公由が長船に視線を送る。
「……探すぞ」
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ラハル - アノさん» ありがとうございます!他の作者様の素敵な文に負けがちですが精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いします!! (2017年3月5日 22時) (レス) id: a67c8f74a0 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - アノさん» お褒めに頂き光栄です(*´∀`) 更新遅れてますが頑張りますね(^o^ゞ (2017年2月24日 20時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
アノ - 凄く楽しく見せてもらっています!凄くこの作品好きなので更新頑張って下さい!応援しています! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 09388b2c82 (このIDを非表示/違反報告)
ラ八ル(プロフ) - 花園イリアさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!これからも頑張るので宜しくお願いします!! (2016年11月25日 22時) (レス) id: dcc66ec7ef (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» 有難う御座います! ご期待に添えるように頑張りますね(*´ω`*) (2016年11月22日 9時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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