【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語3【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ29)

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第124話ページ29

「じゃ、何かあったら飛んで来るなー！」
「俺は家帰るわ、やる事あるから。」
「はい･･･ありがとう、ございます･･･。」
　結局ロボロはグラウンドに着くまで降ろして貰えず、やっと解放されて去って行った。
ゾムはグラウンドの傍にある木の上で昼寝をするらしく、笑顔でAに言い残してから歩いて行った。
「(･･･色んな魔法使うのかぁ･･･)」
Aは生徒が集まっている所へ、ぽてぽてと歩き出した。
「(ゾムさんのさっきの風魔法･･･
　風の流れを一方向にしない事で、ロボロさんが傷つかなかったんだな･･･
　でなきゃ、林檎の皮むきみたいにロボロさんすり減っていっちゃうし･･･)」
Aが考え事をしている間に生徒が集まっている所の一番後ろに着いて、Aは立ち止まった。

　そして数分も経たずに教師が来て、授業が始まった。
授業内容は鬱が話していた通り、得意魔法以外の魔法も使ってみようと言う内容だった。
教師が配った資料には沢山の魔法が書かれており、それぞれの説明の下には簡単な課題が書かれていた。
その課題をクリアしていっても良いし、次々に沢山の魔法に挑戦していっても良いらしい。
　何人かで集まってやっても良いし1人でも良いとなり、Aは1人離れた場所に行った。
「(最初のやつからやって･･･課題もクリアしていこうっ)」
Aは内心ワクワクしながら、資料を見ている。
無表情なのは変わらないが、ほんの少しだけ動きがぴょこぴょこと嬉しそうである。

「(最初は炎魔法で･･･火球を作る･･･)」
Aは資料を片手に、もう片方の掌を空に向けた状態で前に出す。

　ボッ
Aの手の上に現れた火の玉は、渦を巻いて火球になった。
「(次は･･･水魔法で同じ事･･･？)」
Aは資料を見てから、火球の方に視線を送る。

　ゴポッ
すると火球が水に飲み込まれて、水球に変わった。
「(･･･師匠とこんな事やったっけ･･･)」
ゆらゆらと表面が揺らめいている水球を見ながら、Aは過去の事を思い出す。

　『こうして小範囲に留める事で、自然と制御が出来る様になるんだ。
　って、もうちゃんと出来るじゃないか！凄いな＿＿！！』

「(･･･あの頃はまだ、周りに水が何滴も零れてたな･･･)」
Aは過去を思い出し、目を細めた。

　シュルルッ
水球がAの掌から出た蔓によって覆われ、小さくなっていった。
完全に水球がなくなると、蔓はポンッと音を立てて小さな花になって消えた。