【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語3【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ21)

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第116話ページ21

授業が終わり、ずっと後頭部に何かを当てられていたAは、少し頭痛を起こしながらも鞄に荷物を入れて立ち上がる。
生徒も教師も教室を出始めていて、Aも扉の方へ行こうとした。

　バシャンッ！

　大きい水の音がして、教室内にいた生徒も、出て行こうとしていた生徒も、其方を見た。

「･･･。」
　Aは机の傍で、俯いて立ち止まっていた。
Aの頭からは、バケツで掛けられたかの様に水がポタポタと落ちてきている。
「(･･･水･･･)」
Aは自分の髪から滴り落ちている水滴を見て、頭を働かせようとする。
「(･･･教科書とか、濡れてないかな･･･ああ、机も床も濡れてる･･･)」
Aは持った鞄を一旦肩から下ろしてみる。
　鞄もびしょ濡れになっており、入っている教科書も板書した紙も濡れてしまっている。
「(乾かさなきゃ･･･)」

　クスクス＿

　Aを見て、小さく笑っている生徒がいた。
それはAが授業前に見た、数人の女性生徒だった。
何処からか現れた水を被って、鞄の心配をしているAを見て、蔑む様な目を向けている。
「(炎魔法と、風魔法と･･･)」
Aは自分の身体よりも、鞄や机等の心配をしていた。
　そんなずぶ濡れのAを、誰も心配していない。
否、いたとしても助けたら標的が自分に移りそうだからと"助けられない"人が殆どだった。
女性生徒数名はそう他の人に思わせる程だと、この教室内を見れば分かる。

「Aちゃーん？遅いけどどうし･･･た･･･」

「あ･･･鬱、さん･･･ロボロ、さん･･･。」
　中々出て来ないAを心配してか、鬱とロボロが大講義室に入ってきた。
「な、何があったん･･･？」
ずぶ濡れのAを見て、鬱とロボロは目を丸くさせている。
「あ･･･すみません･･･。急に、こうなったもので･･･。」
Aは鞄を持ったまま、普段通りの無表情で2人にそう話した。
「きゅ、急にって･･･！」
「･･･ロボロ、タオル出せる？」
「は？だ、出せるけど･･･あ！そう言う事な。」
普段より静かな声の鬱に言われて何かに気づいて、ロボロは何もない所からバスタオルを出した。
「とりあえずコレで拭きぃっ？」
「先に、机とかを･･･。」
「そんなん後でも大丈夫やからっ！」
「ん。先に拭こうな。」
「わぶっ･･･」
鬱はロボロからタオルを取って、Aの頭に被せる。
ロボロはそのタオルで、Aの髪をわしゃわしゃと拭き始めた。