私の居場所【D.Gray-man】2 (ページ4)

今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:46,843 hit

＿＿＿＿49 ページ4

表Aside

泣きつかれて
日が傾きかけたころ

足音と共に
影が院内に伸びた

もしかして帰ってきてくれたのかも、、、！

そんな思いで玄関の方を見ると
私とさほど年の変わらない男の子が立っていた

黒い服に十字架の紋章

初めて見る服装

「、、、、、ひとりか？」

不愛想な表情のまま院内に入ってきて
私の数歩手前で止まった男の子は私の顔を覗き込んだ

「聞こえねぇのか？」

『ひとり、、、です、、、』

この街の人ではないことは
すぐに分かった

黒髪に黒目

ここら辺ではあまり見ることのない
アジア寄りの顔

「親は？」

『わかんない』

呆然としている私など気にした様子もなく
軽く面倒くさそうに舌打ちした男の子は
私の腕を掴んでぐっと引っ張った

「来い」

『え、え？、、、えぇ？！』

いきなりの事に驚いたものの
置いていかれても困るのは私で

抵抗することもなく
私は男の子に引かれるまま医院を出て
閑散とした街を歩いた

私と同じくらいの年なのに
刀を腰に下げている

今時刀を身に着けている人なんて
なかなか見ることはない

一体この子は何なんだろう

ついていっても大丈夫なんだろうか

そんな不安を抱えつつ着いた場所は
この街で一番広い公園だった

そこには
きっとさっきの大きな奴にやられたのだろう
ケガをしている人が大勢寝かされていて

その中に男の子と同じ服を着た人が数人と
白いロングコートを着た人がケガ人の治療に追われていた

「親、探してみろ」

そうか、、、この子は
ここに私の両親がいるはずだと思って
わざわざ連れてきてくれたのか

言われるがまま
私は歩きながらきょろきょろと探し回った

だけど両親は居ないようで
見つけることができず
探しているうちに完全に日が沈んでしまい
これ以上探すことはできなくなってしまった

「両親は見つからなかったのかい？」

途方にくれていた私に
優しそうなおじさんが声をかけてくれた

男の子と同じ黒だけど
金色が混じった服

「僕はフロワ・ティエドール
君の名前を教えてくれるかな？」

目線を合わせてかがんでくれたおじさん
その優しい表情は私の緊張をスッと取ってくれた

『A、、、』

「そうか、Aちゃんか
良く生きていたね」

そう言って大きな手で頭を撫でてくれたおじさん

その手が暖かくて
また、出し尽くしたと思った涙が溢れてきた

.