夏 ページ3
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景気のいい乾いた音が、グラウンドに響く。
クラス応援席のテントの下で、タオルを肩にかけぼうっとグラウンドを眺める。自分の出番までは、まだまだ後であるためクラスメイトの競技を何となく見ていた。
「Aっち〜」
「あっ、伊瀬谷くん」
汗を流し、キラキラスマイルを浮かべる彼が隣に座りに近くにやってきた。彼は、軽音部のHigh×Jokerというメンバーと共に、アイドルとして活動を始めたらしい。なかなかの人気で、ファンの子たちに囲まれているのを彼女は、よく目撃している。周りに誰もいないのが珍しいくらいだ。
「Aっちの出番はまだっすよね」
「うん、伊瀬谷くんの借り物競争はそろそろじゃないの？」
彼は、今日の朝、意気揚々と借り物競争に出ることを伝えてきた。どうやら何か良いハプニングとやらが起きてくれることを願っているらしい。夢の見すぎである。漫画でもないのだからそんなこと起きるわけがないと、一蹴すると「Aっちの意地悪〜」と泣き真似をしてきた。何かおかしいことでも言ったのだろうか。
すると、借り物競争に出る選手の招集がかかった。慌てて、席を立って走り去る。
「あっ、ちゃんと俺のこと応援してるんすよ！」
「同じクラスだからね、それくらいはするよ」
バーンと格好つけて、光のある場所へと向かった。何故そんなにも、元気が残っているのか不思議である。
いつの間にか前の競技は終わり、彼の出場する借り物競争になっていた。彼は、三走目のようである。隣の生徒に、テンション高めに話しかけて、楽しそうに笑っていた。やっぱり、彼の笑顔は少し眩しすぎる。
彼の出番になり、勢いよく飛び出した。紙を拾い上げると、慌てた様子で周りを見渡している。何か難しいお題にでもあってしまったのか、一生懸命周りをきょろきょろと小動物のように動き回っている。面白くて、少し吹き出してしまった。
「Aっち！タオル貸して！」
「えっ、あっ、はい」
戸惑いを隠せず、慌てて渡す。どうやらお題は「タオル」だったらしい。残念ながら、一位にはなれなかったようだが本人は満足のようである。暫くして、彼が応援席に戻ってきた。
「サンキュー！助かったっすよ！」
「タオルくらいすぐ借りれたはずじゃん」
そう言うと、口を尖らせて「ジュンっちも、ハヤトっちもハルナっちも、ナツキっちもいなかったんすもん」とそっぽを向いていた。だからと言って自分の所へ来る必要はあったのだろうか。
苦手な行事の体育祭は、不思議な気持ちのまま終えた。
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oliver sakura(プロフ) - 四季くんが可愛くて、とても楽しんで読ませていただきました！ (2018年12月27日 5時) (
レス) id: 10d3582e90 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - アニメ始まってからMマスには本当にはまってて・・・こんなすばらしいお話が見れて幸せです！次もがんばってください！楽しみにしてます！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - 初めまして、絢（アヤ）といいます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
ままこ(プロフ) - 若葉松ガールさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると本当に嬉しいです(；＿；)頑張ります！ (2017年12月7日 18時) (レス) id: dd2edfbc4c (このIDを非表示/違反報告)
若葉松ガール(プロフ) - 完結おめでとうございます！私も最近Mマスにハマりました！1番好きな四季くんの小説が見れてすごく嬉しかったです(*^^*)次の作品も楽しみに待ってます！！ (2017年12月1日 16時) (レス) id: 2308de6ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままこ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月14日 20時
