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夜の月(5) ページ32

何かに寝そべらされてる。
そう感じたのは意識が覚醒する少し前だった。
ぱちり、と目を開けるとそこは暗い部屋の中で。
今まで暗闇であった俺からすると部屋の全景が見渡せるぐらいの明るい感じもした。

「…どこだ、ここ」

暗いと感じたのは本当に暗いだけじゃなく部屋の色も関係しているようだった。
黒に塗られた壁は本当に闇に包まれてるかのようで不気味に感じる。

…ふと視界の端に何かが動く。
杖を構えようとするが、ずきりと痛む腹に思わず呻き声が上がる。

「大丈夫かい、A」

その動くものの正体は、リーマスだった。
不気味に感じてた部屋に知り合いがいたことによって安堵した俺はリーマスに近寄ろうとする。
…が上手く動けない。ジャララとなにか金属の擦れる音が耳に届く。

「ダメだよ、鎖でそこに繋がれてるみたい」

「ああ、そういう事か。リーマス、これ外れそうか?」

リーマスは首を横に振る。

「さっき試してみたんだけど、僕の知ってる魔法じゃ難しいかも」

「じゃあ、杖貸してくれ。俺、運ばれる前に落としたみたい」

「うん、出来れば早く返してね」

直ぐに返すよ、って苦笑いしながら受け取ると鎖に向けて魔法を放つ。

「レダクト!」

鎖がバキン、と音を鳴らして粉々に砕け散る。
これで最小限は動けるだろう。

「ありがと、リー…リーマス!?」

リーマスに声をかけようとすると、リーマスは俯いてなにか苦しそうにしている。
俺は思わず駆け寄るがリーマスに腕を弾かれる。

「…A。その扉から、階段降りて…杖はあとで…ぐっ!!」

「リーマス!」

「急いで!!」

あの優しいリーマスからは想像のつかない程の大きな声で牽制される。
そしていつもと同じ笑顔でまたねと言われる。
俺は何も言えずにその場を後にする。
階段を降りてきてから聞こえてきた悲痛な叫びにようやく理解をした。
リーマスは、狼男だって事を。

扉を開けて、音なく閉める。
リーマスの顔の傷が気になっていたがようやく理由を理解した。
これは絶対俺から話してはいけないことだろう。
リーマスから、話してくれるまで…待つべきだ。

そのあとの俺は迎えに来たセブルスとリリーにしこたま怒られて、リリーの箒の後ろに乗せてもらって、寮監や先生にバレないように部屋に戻ったのを覚えてる。


『動物には攻撃しないのは本当なんだね』

ぐるると唸る、狼男に聞こえない言葉を話す。

『今はあの子が帰れるように、君が暴れないようにここに居るのが私の役目さ』

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八神(プロフ) - ああさん» ……ああ!?本当ですね……修復が難しい流れなのでキャプション記載させていただきます。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月9日 22時) (レス) id: 5d49f427fa (このIDを非表示/違反報告)
ああ - あの、組分けの時って苗字順に呼ばれるじゃなかったですっけ? (2019年11月4日 11時) (レス) id: a72da57039 (このIDを非表示/違反報告)
LN - 楽しみにしてる、いい作品だね!こういうのハリポタだと珍しいから頑張って! (2019年5月27日 0時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八神 | 作成日時:2018年12月21日 21時

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