こネタ ページ38
「君は今まで、私に贈り物をした事が極端に少なかったように思うのだよね。幹部だった私に媚びを売るため、贈り物をする者は多くいたよ」
探偵社からほど近い海の見える公園。お昼休憩も兼ねて太宰と二人ベンチに座っていた。
お互いに、もともとが小食であるために、太宰の手には珈琲缶が一つ、Aの手にもフルーツサンド一つ、ベンチ脇にお茶のペットボトルが一本だけだった。
『太宰さんの部下だった訳でも無く、上級構成員ちょっと手前の下っ端でしたし恐れ多いですよ。それに...』
太宰は、受け取った品を部下に譲るか、まとめて破棄するかしていた。
『(判っていても、悔しい)』
太宰は次の言葉を待つように、斜め下にある小さな頭を見つめていた。その瞳は全てを見通しているのだろう。目の前の、幼い頃からの付き合いがある普通の人間の思考など、彼は屹度手に取る様に判る。
積雲が通りかかり、夏の暑い日差しを遮る。涼しくなった辺りに風が吹き、Aの指通りの良さそうな髪をふわりと持ち上げた。
俯くAを見ていた太宰は、無意識に揺れる髪へ視線を移していた。
『何でもないのに、贈り物を贈るのは、昔の私には壁が高かっただけですよ。物理的にも精神的にも、遠〜〜くに居ましたから。』
太陽が雲から顔を出した時、Aの表情から小難しい皺は取れ、何時もの屈託ない笑顔を太宰に向けていた。それはさながら映画の
「それは、今は昔より、物理的にも精神的にも近くなった、と云いたいのかい?」
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宮古みなこ(プロフ) - すきです‥!!!太宰さんが、太宰さんが地の文で少しデレてるというか本心を晒してる節があるのが物凄く好きです。。。信者ちゃんめちゃくちゃ可愛くて死ぬほど応援してます。ちゅやには贈り物とかしたのかなとか考えると!かわいいです!これからも応援してます!!! (2021年8月25日 0時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続きが凄く楽しみです!無理せず頑張って下さい! (2021年8月24日 14時) (レス) id: b8554bb3a6 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - あやさん» えへ〜そんなぁ((( 構成はずっと妄想してたので、書けて良かったです (2021年6月23日 22時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - 心咲さん» 現実ですよ 番外編ですけど( *´艸`) (2021年6月23日 21時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - メノウさん» 面白い質問ありがとうございました!! ねぇ〜信者ちゃん死んじゃうんですよ^^ 返信遅くなってすみませんでした。 (2021年6月23日 21時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヤカ | 作成日時:2021年5月7日 13時