ちょっとちょっと、太宰さん！？ストップストップ！！【文スト】

１３．対策 ページ26

「待て」

　と、ここで入った国木田さんの待った。

「狂言も結構だが、ここで根本的な問題を提示したい。太宰だ」

　国木田さんは太宰さんに目を向け、太宰さんは笑顔で自分を指差した。

「私？」

「そうだ。このままいけば、社外に迷惑が掛からぬよう、社内で事件を偽装する線で固まるだろう。そして誰かが、騒動を準備し問題を演出することになるだろう。そこまでは善い。しかし」

『「しかし？」』

「全員、そもそもの事の次第を思い出してほしい。 今回の新人勧誘騒動は、他の誰でもない太宰が云い出したことだ。災害指定猛獣などという野蛮な代物を、捕縛するでも保護するでもなく、よりにもよって探偵社に入社させるなどという恐ろしい発想は、ひとえにこのワカメ脳による適当な思いつきだ」

　机から身を乗り出して行われる国木田さんの名演説は凄い迫力だ。

「それほどでも」

『斬新な発想！ 流石太宰さんです！！』

　ワカメは一寸いただけないけど。

「褒めていない。そしてA、太宰を甘やかすな。はぁ... 無論俺も、そこからの再考まで進言する気はない。社長が許可を出したことだからな。だが、俺は太宰の性質を厭というほど知っている。こういう場合の太宰の遣り口はきわめて明確だ」

　言葉を一度切って、聞いている私たちを見回した国木田さん。思わず喉を鳴らす。

「“思いつきは必ず実現する。ただし面倒な部分はさりげなく他人に押しつける”。
———違うか太宰」

「バレていましたか。流石は国木田君」

　太宰さんはにやりと笑って頷いた。もし国木田さんに太宰さんの責任回避対策があったとしても、上手くいかないんだろうな。
　だって中也さんですらできた事ないんだから。

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次回は無論、太宰治誕生日こネタです！

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次回更新予定日:6月19日

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