[d!]キミのことが好きで好きでたまらない!! (ページ5)

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狂気、一転正気？[黄] ページ5

出して、嫌だ。

もう何回このやり取りを繰り返したのだろうか。十八回目までは数えていたけれど、それ以降は面倒くさくなってやめてしまった。

[はぁ…]

わざとらしく大きなため息をつくと、鉄格子越しに座る彼の肩がピクリと跳ねた。ゆっくりと、壊れたロボットのように振り向いた彼のシトロンの双眸はうっすらと膜を張っており、大きな雫が今にも溢れんばかりに目尻に溜まっていた。

「ごめ、ごめんなさ…い…」
「謝るなら出してよ。」
「いや、いやや。」

泣きながら必死に首を振ってイヤイヤと喚くその姿はさながら玩具を買ってもらいたがっている子どもの様。子どもの様なあどけなさなんて感じなくなってしまったけれど。

「ほんといい加減にしてよ…」
「う…ごめ…」

手足の異様な重みにそろそろイライラしてきて語気が強くなる。彼の鳴き声だけが響く部屋にガチャガチャと鎖の無機質な音が嫌にうるさく響いた。

彼…シャオロンに閉じ込められてもう数か月が過ぎた。
シャオロンの家に遊びに行った日、出された紅茶を飲んで目覚めたらこれだ。私の意識が覚醒して開口一言ごめんなさい。
謝るならこんなことしないで欲しいと何度も言ったし思ったが現状はさして何も変わらなかった。強いていうなら、彼が随分と頼りなくなったことくらいだろうか。